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Trauer 16 ページ17

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「ごめんね、迷惑かけて…………」


「気にするな、無事だったらそれでいい」



昔は彼の言動に一々怯えて困らせていたような気がするのを思えば、ぶっきらぼうな口調にも随分、慣れたものだと思う。


第一次侵攻で一人になって、早二年。

匡貴くんや叔母さんたち家族には、迷惑をかけてばかりだと自省する。


そう思っていたのが伝わったのか、ため息を吐かれて優しい温もりが頭上に降ってきた。

ぱっと、弾かれたように見上げれば温もりの正体が彼の手だと気付く。


なんだかんだ言って彼は優しいのだ。

──不器用だったり、分かりづらいだけで。



「あとね、私ボーダーに入る」



そういった時、ピタリと彼の足が止まる。

振り返って視界に映った顔はいつもより二割増しで不機嫌になっていた。



「理由は?」


「自衛のため、かな。私、狙われやすいみたいだから…………」


「トリオン量が多いのか」



トリオン量がどれぐらいかを教えてもらったのを大体どのぐらいかで言うと、匡貴くんは嫌そうな顔になる。

やっぱり普通ではないらしい。



「ボーダーに守られるよりも、ボーダーに入った方が安全だな」


「あははは…………。そういう訳で、書類書いてもらいにそっち行くよ」



だけどそこで違和感を感じる。

なぜ匡貴くんがトリオンを知ってるのか、しかもその判断ができるのか分からなかったからだ。


私も今日、説明されるまでは知らなかったのに一般人が知っているのだろうか? いや、ありえない。



「もしかして、匡貴くんが迎えに来たのって匡貴くんがボーダー隊員だから……?」


「そうだが? …………言ってなかったか」


「聞いてない…………」



全くもって今日は驚くことだらけだ。




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作者名:猫鞠 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=neconuco  
作成日時:2021年3月7日 1時

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