Trauer 13 [意外] ページ14
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眠い頭でぼんやりと当たりを見渡す。
…………ここ、どこ?
そう思ってふと目に入った自分の趣味では無い服に、脳が混乱した。
それもつかの間。
──コンコンコン。
ノック音に慌てて返事して、ドアを開けるとそこに居たのは帆波先輩で。
ようやくここが玉狛支部だということを思い出した。
「おはよう〜、よく眠れた?」
「はい」
相変わらず間延びした喋り口調の帆波先輩にはつい、気が緩む。
これが他の人だったら多分ここまで穏やかなやり取りできないと思うので、彼女の配慮はありがたかった。
…………服の趣味を除けば、だけど。
「Aちゃん来たばっかりで着替えないの思い出してね。私のお古で良ければ使って〜?」
「ありがとうございます」
彼女から紙袋を受け取って、着替えたら朝食があることなど連絡事項を聞いて、部屋の中に戻る。
ガサゴソと紙袋を漁り、お古だという服を手に取る。
そこには意外にも普通の服に1枚のメモが。
“あたしのお下がりでごめん。でも帆波さんのよりマシだと思って受け取って”
……どうやら美桜先輩のおかげで帆波先輩の魔の手から逃げられたようだ。
因みに帆波先輩は明らかに可愛い子が着るような服が趣味なので逃れられて良かったとも言う。
この恩は忘れません、……多分。
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作者名:猫鞠 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=neconuco
作成日時:2021年3月7日 1時