Trauer 10 ページ11
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<わかったわ、そういうことならそちらに泊めてもらった方が私達も安心できるわ。Aちゃん一人であの家に住んでるから…………>
「心配かけてごめんなさい、叔母さん」
<いいのよ、元はと言えば奏がAちゃんを置いていくからよ>
叔母さんと
三年前くらい前に父さんが亡くなって、母さんが働くようになってからはよく叔母さんの家に預けられたのもいい思い出だ。
叔母さんの息子にもたくさん迷惑をかけたとは思うけど、それなりに可愛がってもらっていたと思う。
なんだかんだ言って、一番仲良かったのは父さんと同じように一緒に帰ってこなかった兄さんだけど。
その時のお葬式も一番やるせない顔をしていたのは彼だったから。
第一次侵攻の時も、悲しみに暮れる私を支えてくれたのは彼らだ。
一年たたないうちに家族全員喪うなんて、思っていなかったのだから。
泣くことさえできずにいた私を慰めてくれたことは忘れない。
今、彼は高校三年生くらいだろうか。
彼が高校生に上がるくらいにはもうめっきり合わないようになっていたから、よく覚えていない。
<明日の朝、迎えを送るからゆっくりしてらっしゃい>
「はい、ありがとうございます」
そう言って電話を切った。
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作者名:猫鞠 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=neconuco
作成日時:2021年3月7日 1時