【〃】 ページ28
不用意に覗き込めば吸い込まれて出られなくなるのではないかと固唾を呑んだ。
『殺さないんですか?』
「……」
俺は無言で刀を下ろした。
『僕は思い人を失う苦しみは分かりません。でも、大切な人を失う苦しみは分かります、僕も祖母を殺されているので』
「は」
『7つの時でしたかね?両親は最低最悪な人間で、いつもはほぼ僕のことを忘れているくせに必要なときだけ殴りに来たりするんです。真っ暗な暗闇に閉じ込められて、何も教えてもらえなくて、痛みを何と言うかさえ知らなかったんです。』
「ッ…」
Aの口から溢れる凄惨な過去。
それを淡々と笑顔で話すAに、背中に冷たいものを感じた。
『そんな時、祖母が僕を見つけてくれたんです。暗闇から僕を引っ張り出して、色んなことを教えてくれた。祖母はとても美しく、聡明で強くて、優美な人でした。
僕を庇って両親に殺されてしまいましたが』
一瞬だけ、Aから笑みが消えた
『その両親を殺したのは僕です』
「…」
『僕は、貴方のように伊勢姫さんに会ったことがある訳ではないので詳しくは分かりません。でも、伊勢姫さんは』
『貴方が戦で死ぬことなんて、望んでない』
「!」
『貴方が戦に狂うのは、いつ死んでもいいから、ですよね?』
ぐうの音もでないほどその通りだった
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通行人Sの叫び(プロフ) - こうこうさん» ありがとう!!!!! (2020年4月20日 11時) (レス) id: 285fa6164a (このIDを非表示/違反報告)
こうこう(プロフ) - うはうは↑面白い!!よ、更新まってるー、 (2020年4月20日 11時) (レス) id: a27447a55c (このIDを非表示/違反報告)
通行人Sの叫び(プロフ) - ナルシストさん» ありがとうございます!ですよね!ドヤァ← (2020年4月17日 10時) (レス) id: 285fa6164a (このIDを非表示/違反報告)
ナルシスト - とても面白くていい小説だと思う ドヤァ (2020年4月16日 23時) (レス) id: 9f29b33a37 (このIDを非表示/違反報告)
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