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貴「左近さん!」
左「大声出さなくっても聞こえてますって。それより俺、三成様のことが気になっ 貴「次はそちらの方をお願いします!」 聞く耳なしか!?」
左近はAにこき使われている。さきほど昼の休みをもらい、彼女らから昼食も分けてもらったのだが、戻ってきたらAが問答無用で手伝うように言ってくる。・・・・いや、正確にはその威圧に圧されたような感じだ。
Aは患者に話しかけるときと治療するときでは、性格そのものが違うように見える。安心させるかのように優しく微笑んだかと思えば、緊迫した様子で焦りながらも的確な指示を出しながら自分も治療に携わっている。
貴「左近さん、ぼうっとしない!」
左「わかってますよ!!」
怒鳴らり返したとき、ハッとした。今目の前にいるのは明らかに敵軍だ。いや、この者だけではない。あちこちに敵兵の姿が・・・。
貴「どうしました?」
左「Aさん・・・こいつは・・・。」
貴「あなたにとっては敵になりますね。」
左「すみません。俺は、三成様を傷つけたような奴を助けるようなことは・・・・。」
貴「今は関係ありません!」
振り向くことなく、Aはぴしゃりと言い放った。
貴「ここにいる方たちは、全て私たちの患者です。敵も味方もありません。」
左「あんたにはそうだったとしても!」
左近は思わず立ち上がった。
左「俺とあんたたちは違うんだ!俺は、敵を簡単に許すなんて・・・。」
貴「この行為があなたにとって許す、ということになるのですか?」
Aもゆっくりと立ち上がった。じっと左近の目を見つめる。
貴「あなたは今、主君を傷つけられて精神を病んでいます。いつか考え直してください。あなたもここにいる人たちの大事な人を奪っているのだと。」
左近は黙っていた。Aもそれ以上は何も言わずに治療に戻った。
優「Aさん!」
貴「優華さん!無事でしたか。」
優「はい。それより、この戦なんですが・・・。」
優華はAの耳元で何かを囁いていた。その内容は聞こえていたが、耳に全く入ってこなかった。
彼女に言われるまで気がつかなかった。自分も十分傷ついていたことに。それほど苦しかったのだ。主君を失うことが。それを分かった上で、彼女は左近に手伝わせていたのだ。
今はわかることができないが、ただ彼女に対して、恩人に対して無礼なことを言ったということだけは理解できた。
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桜楼(プロフ) - アイさん» 応援ありがとうございます!ご期待に添えるよう頑張ります (2014年7月24日 18時) (レス) id: 2a54482901 (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - とても素敵なお話で楽しく読ませてもらっています。更新頑張ってください。応援しています (2014年7月24日 12時) (レス) id: 52837a80d6 (このIDを非表示/違反報告)
桜楼(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます!なかなか更新出来ませんが、頑張ります! (2014年4月4日 9時) (レス) id: 5ec259502a (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 続き楽しみにしてます!がんばってください!話の内容的にもとても面白いです! (2014年4月3日 22時) (レス) id: 9151cce92b (このIDを非表示/違反報告)
桜楼(プロフ) - はい、頑張ります!いつも応援ありがとうございます!! (2014年3月18日 19時) (レス) id: a3fc877969 (このIDを非表示/違反報告)
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