5 ページ7
半「秀吉に会いたいだって?」
兵「はぁ・・・一人の女がそう言ってここに来ているのですが。」
半兵衛は顔をしかめた。こんな戦場に女が一人で、しかも一軍の大将に会いに来た?怪しいことこの上ない。
半「とにかく、会ってみる。彼女はどこに?」
兵はその女性を連れてきた。その姿を見て、半兵衛はハッとした。この姿は見覚えがある。たしか『医師兵団』がこんな姿だった。
半兵衛の姿を認めると、女性は柔らかい物腰で頭を下げた。
優「お初にお目にかかります。医師兵団の優華と申すものです。」
半「君たちの事は噂に聞いているよ。まさかこんなところにも来ていたとはね。」
優「可能な限り、戦があるところには赴いています。」
優華は真っ直ぐに半兵衛をみつめた。
優「我らの頭領に代わって、豊臣の負傷者の方々をお知らせします。」
半兵衛は無言で先を促した。優華は懐から文を取り出して、半兵衛に渡した。
優「現在、私たちの元にいるのは四十三人の方です。まだ増えているとも考えられます。」
半兵衛はその説明を聞きながら文をさらっと読み流した。優華が口にした内容と、一人でも多く助けるから安心するようにと書いてあった。
半「よくわかった。ご苦労だったね。あまりかまってやれないけど、ゆっくりしておいで。」
優華は首を横に振った。
優「まだ私たちの役目は終わっていません。お気になさらずに。」
半「そうか。それでは、頭領によろしく頼むよ。」
そのまま背を向けて去ろうとして、半兵衛はピタッと足を止めた。振り返るとまだ優華がいる。
半「いくつか聞いていいかい?」
優「なんでしょう?」
半「君らのところに、三成君は・・・・銀髪の青年なんだが、背が高くて刀を持っているんだが・・・。」
あまり特徴の説明になっていない。これで伝わったかと不安だったが、優華はうなずいた。
優「その方ならご安心下さい。部下の方と共にいらっしゃいます。大怪我を負っておられますが、命に別状はありません。」
その一言を聞いただけで、体の力が一気に抜けた。ずっと昨日から気になっていたのだ。刑部も知らないと言うし、左近もいないし。
そんな半兵衛に気づいたのか、優華は微笑みかけた。
優「必ず、私たちが助けます。ですのでご心配なく。」
26人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜楼(プロフ) - アイさん» 応援ありがとうございます!ご期待に添えるよう頑張ります (2014年7月24日 18時) (レス) id: 2a54482901 (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - とても素敵なお話で楽しく読ませてもらっています。更新頑張ってください。応援しています (2014年7月24日 12時) (レス) id: 52837a80d6 (このIDを非表示/違反報告)
桜楼(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます!なかなか更新出来ませんが、頑張ります! (2014年4月4日 9時) (レス) id: 5ec259502a (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 続き楽しみにしてます!がんばってください!話の内容的にもとても面白いです! (2014年4月3日 22時) (レス) id: 9151cce92b (このIDを非表示/違反報告)
桜楼(プロフ) - はい、頑張ります!いつも応援ありがとうございます!! (2014年3月18日 19時) (レス) id: a3fc877969 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ