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左「三成様!!」
背から地面に倒れながら左近が叫んだ。この体勢では主の後姿しか見えない。
うかつだった。まさかこんなところに伏兵が潜んでいるとは。しかも、鉄砲隊。
気づいたのはいいものの、足が動かなかった。どうにかしなければ、と思ったが体が言うことを聞かなかった。
三「!左近!!」
異変を感じた三成が左近を背後に突き飛ばした。左近が倒れた瞬間、夥しい数の発砲音が響いた。その音はどこまでも余韻を残していった。
仰向けの状態だったため、様子が見えない。敵はすでに去っていったはずだ。ハッとして勢いよく起き上がる。
左「三成・・様・・・!!」
まず目に入ったのは、左近の足元まで広がっている血だ。ここまで多くの血をいっぺんに見たのは初めてだ。それを追うように、徐々に前に視線を泳がせる。
左「あ・・・・・。」
目の前で倒れているその姿は。刀を持ったままうつぶせになっているその姿は。紛れもなく主君として慕っていた人だ。
そっとその体を抱き起こした。完全に意識がなく、腕がだらりと下がっている。
左「しっかりしてくださいよ・・・三成様・・・三成様!」
いくら揺さぶっても、返事はない。それどころか、どんどん血が流れ出ていく。
自分のせいだ。なぜ、早く動かなかった?なぜ、助けようとしなかった?間違いなくこの人はもうすぐ死・・・・
「大丈夫ですか?しっかりしてください。」
そっと肩に手を触れられて、左近はゆっくり顔を上げた。視界が霞んでいて声の主がよく見えない。
「泣かなくても大丈夫ですよ。私たちは助けに来ました。」
言われて、ようやく自分が泣いていたことに気づいた。あいている手の甲でむちゃくちゃに顔を拭う。
目の前にいるのは二十代くらいの女性だ。その近くに十二、三歳の少女が立っている。
左近が落ち着くのを待ってから女性は再び声をかけた。
1「出血が多いですね。すぐに運びます。さあ、早く準備を!」
2「は、はい。」
左「運ぶって・・・どこに?」
1「ここよりは安全な場所へ。急がないと本当にこの方は死んでしまいます。」
そう言うと、女性は三成の肩の辺りを少女は足を持った。
1・2「いち、に、さん!!」
息を合わせて、二人は三成の体を担架に乗せた。二人が担架を持ち上げると、女性が左近を振り向いた。
1「あなたも来てください。この方にとってもあなたにとっても、それが一番いいでしょう。」
何も言わずに、左近は立ち上がった。
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桜楼(プロフ) - アイさん» 応援ありがとうございます!ご期待に添えるよう頑張ります (2014年7月24日 18時) (レス) id: 2a54482901 (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - とても素敵なお話で楽しく読ませてもらっています。更新頑張ってください。応援しています (2014年7月24日 12時) (レス) id: 52837a80d6 (このIDを非表示/違反報告)
桜楼(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます!なかなか更新出来ませんが、頑張ります! (2014年4月4日 9時) (レス) id: 5ec259502a (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 続き楽しみにしてます!がんばってください!話の内容的にもとても面白いです! (2014年4月3日 22時) (レス) id: 9151cce92b (このIDを非表示/違反報告)
桜楼(プロフ) - はい、頑張ります!いつも応援ありがとうございます!! (2014年3月18日 19時) (レス) id: a3fc877969 (このIDを非表示/違反報告)
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