第十八話「土人形の正体」 ページ10
わたしの反応に、少し驚いた顔して。
土人形は顔をあげた。……その顔は、サイズは違うけど、隠者(ヘルミット)と同じ形をしている気がした。
そして、
「あ、あの子たちを、こ……ころさないでっ!」
震えながら、小さな声を必死に絞り出して訴えてきた。
「うーん」
わたしは首をひねった。
紅炎様はかなり、目を血走らせて剣をふるい続けていたし。……お日様も、そんなお兄さんを助けようと、荒い息で奮闘していたから。
ただ、殺さないで、とお願いしたところで聞いてもらえる気はしなかった。
「あなたが、ほんとのへるみっと? なら、なのりでたら……」
少なくとも硝子人形を切り続けるのはやめるんじゃないかな? といいたかったけど。
怯えた声が、それをさえぎった。
土の人形「そ、そ……そしたら、わ、私がころ、殺される……!」
小さな悲鳴にも聞こえた。
土の人形「あ、あの子……たちは、私の……き、恐怖が……生み出した……存在だから」
今にも消え入りそうな声。
それでも、その人形は必死に訴え続けてきた。
「えーと、へるみっとは……あなたがつくったの?」
なるべく、優しく……むかし、怯えたわたしにお日様がしてくれたみたいに、ゆっくりした喋り方で、質問してみた。
土の人形はこくこくと頷いた。
土の人形「そ、そ、そう! だ……だから! わわ、わわわわ私が、こ……殺される!!」
「なんで?」
土の人形「わ、わわ、私が生み出した存在……だ、だから、私、殺されたら……あ、あの子たちもき、きえるから」
「……」
わたしはこの時、掌の中の人形を握りつぶすことだってできたと思う。
そうしたら、隠者(ヘルミット)たちによって、お日様たちがこれ以上、体力を奪われることを止めることだってできたはず。
なのに。
……できなかった。
プルプル震え続けていた人形があまりにも、可哀そうにみえたから。
「うーんと……、あなたがつくったなら、あなたがへるみっとをとめられない?」
何とか、小さな人形が死なないですむ方法を考えてみた。
土の人形「わ、私は……私からぶ、分裂した……じ、自我を、せせ、制御……で、できない、から……」
「……」
わたしは、土人形の言葉に、少し前までの自分を重ねた。
「あのね、あのね……」
わたしは小さな人形に訴えかけた。
「わたしも……むかし、まごいをせいぎょ、できなかったの」
土の人形「あ、あなたは……今、ち……ちゃんと……、ブ、ブ……ボルグを使えてるじゃない!」
46人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
一花(プロフ) - おはようございます。沢山の閲覧、そしてお気に入りや評価、コメントありがとうございます。無事、本日(第2部は)全エピソード公開となりました。本当に有難うございます! 恐らく本日中に3部への頁もつなげます。あとがきも書きますが、一足先に御礼申し上げます。 (2014年10月5日 6時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - あとは蛇足ですが、プロットつくるまで名前辞典から引いた仮名で通すことがあります。仮名は、同じ時期に作った作品ならば共通です。今回のは、仮名時のものです。……もの凄く残念な形で表にでてしまいました_| ̄|○ すみませんm(_ _)m (2014年7月30日 13時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 鈴さん» メモ帳や、他のアプリなどに打ち込みしたものを、公開時に名前変換可能にしています。……つまりは、主人公名の変換ミスです。混乱を招いてしまい、すみませんでしたm(_ _)m ご指摘くださり、本当に有り難うございますm(_ _)m (2014年7月30日 13時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 鈴さん» コメント、ご指摘有り難うございますm(_ _)m そして、変換ミス、失礼いたしました。私の夢書きスタイルですが、主人公は基本的背景をもっていて、それに沿った裏設定があります。……名前もその一部です。普段、直接占いつくーるに打ち込まない場合(続く) (2014年7月30日 13時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - こんにちは。失礼なのですが、質問です。設定で出てきた“梨奈”とは、どなたの事なのでしょう?本当に失礼ですがよろしくお願いします。 (2014年7月30日 8時) (レス) id: 94adc04a2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:一花 | 作成日時:2014年7月12日 21時