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紅覇様のために力を貸してくれるというなら断る理由はない。
それに、わたしはお日様が教えてくれた『世界』が好きだから。……皇子様と世界を守れるなら、わたしは、何だってできるって思ったから、即答していた。
そんな私の様子に肩をすくめて少し困ったような笑顔をして。
レ「しかし、あまり無鉄砲な行動はしない方がいいぞ。お前の無茶が原因で、紅覇が泣くことになりかねないからな」
そう、釘も刺された。
「わかった。……きをつける!」
わたしはレラージュの右の人差し指を強く握って。空いていた方の手はぎゅっとグーの形に握りしめて、神妙にうなずいた。
レラージュは「それでいい」と笑って。それから光の粒になって消えた。
同時に。
光の柱が濃く金色に輝いて。
今日感じる何度目かの眩しさに目を閉じた。
*
――再び目を開けるとそこは外。
迷宮にいたあいだ、外ではどのくらい時間が過ぎていたのだろう。……すでに夜なのか、辺りは静かな闇の色。そこに先に外に出ていた人たちの姿。
彼らは松明を灯して、まだ出てこない仲間を待っていた。
そこには迷宮に入らなかったジュダルもいた。
ジュ「よっ! どうやら無事に帰ってきたみたいだな!」
ジュダルがにんまりと笑いながら近づいてきた。
「うん! やくそくしたもん!」
わたしは頷いた。
ジュ「そーか、そーか」
破願した彼は嬉しそうな声で、頷いて。
乱暴に私の頭をなでた。
そうしたら。
???「――Aっ!!」
お日様の呼ぶ声がした。
わたしは声のした方に振り向く。
そこには、わたしの大好きな人の笑顔。
(――かえってきた)
やっと、外に出たと実感が湧いた。
滑りぬけるようにジュダルの手から離れて。――お日様の元へ走った。
凸凹した岩の上を駆けた。両腕を広げたお日様は、倒れこむようにしてその胸に飛び込んだわたしを優しく抱き止めてくれた。
覇「おかえり」
優しい声が耳元に響いた。
「ただいまっ!」
わたしは笑顔でうなずいた。
――わたしが、帰るのはいつだってこの人の腕の中だった。
紅覇様は大好きで、守りたい人。
わたしの大切な人。……この人の役に立ちたい。
(……れらーじゅ、わたし、がんばるよ!)
紅覇様の背中の大剣を見ながら誓った。
光の柱で出会ったルフの気配が、皇子様の剣の中でそっとまたたいた。
そんな気がした。
【お日様皇子と茨の姫と迷宮(レラージュ)は(完)】
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一花(プロフ) - おはようございます。沢山の閲覧、そしてお気に入りや評価、コメントありがとうございます。無事、本日(第2部は)全エピソード公開となりました。本当に有難うございます! 恐らく本日中に3部への頁もつなげます。あとがきも書きますが、一足先に御礼申し上げます。 (2014年10月5日 6時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - あとは蛇足ですが、プロットつくるまで名前辞典から引いた仮名で通すことがあります。仮名は、同じ時期に作った作品ならば共通です。今回のは、仮名時のものです。……もの凄く残念な形で表にでてしまいました_| ̄|○ すみませんm(_ _)m (2014年7月30日 13時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 鈴さん» メモ帳や、他のアプリなどに打ち込みしたものを、公開時に名前変換可能にしています。……つまりは、主人公名の変換ミスです。混乱を招いてしまい、すみませんでしたm(_ _)m ご指摘くださり、本当に有り難うございますm(_ _)m (2014年7月30日 13時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 鈴さん» コメント、ご指摘有り難うございますm(_ _)m そして、変換ミス、失礼いたしました。私の夢書きスタイルですが、主人公は基本的背景をもっていて、それに沿った裏設定があります。……名前もその一部です。普段、直接占いつくーるに打ち込まない場合(続く) (2014年7月30日 13時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - こんにちは。失礼なのですが、質問です。設定で出てきた“梨奈”とは、どなたの事なのでしょう?本当に失礼ですがよろしくお願いします。 (2014年7月30日 8時) (レス) id: 94adc04a2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一花 | 作成日時:2014年7月12日 21時