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白亜の建物がいくつも並んでいて。
その中央に、巨大な円柱の塔。そこには、ぐるぐると、朽ち掛けた木の枝が絡みついているのが見えた。
すごく広い地下都市。
なのに。
人の気配は、わたしたち以外ない。
……まるで、死んだような大都市だった。
紅炎様が塔を指さした。
炎「あの塔にジンがいるだろう」
低い呟きには、確信が込められていた。
すでに3つもの迷宮を攻略してきたという、紅炎様だからこそ、この都市がどういう場所なのか知っているのかもしれない。……そう思った。
*
わたしたちは、慎重に地下都市を進んでいった。
わたしはお日様の腕の中で、びくびくしてたけど。
辺りは物音一つしなくて。
静まり返った白い建物の間を歩く紅炎様や、紅覇様たち一行の足音だけが聞こえていた。
砂利道を踏みしめる、ジャリジャリという音が辺りの建物に反響してか、やけに大きく聞こえた。
――そして。
今までの出来事を考えれば、あっけないくらい、あっさりと塔の前に着くことができた。
目の前で見ると、思っていたよりも、もっと大きな塔だった。
紅炎様の身長の何倍もの高さ。10メートルは優に超えていると思う。
それから、わたしたち全員が並んでも、きっと一周できないくらい大きな円の形。
入り口を探して、ぐるりと円柱の周りを歩いた。
10分くらいして。……やっと扉らしい場所を見つけた。
八芒星の刻まれた二枚の観音開きの扉。
塔の大きさを考えたら、ものすごく小さな扉だった。
両方の扉が開いたとして、……人が二人、やっと通れるくらい。
そこには、朽ちた木の枝が幾重にも絡まる形で張り付いていて、まるで頑丈に施錠されているみたいだった。
炎「開けるぞ」
いうと同時に、紅炎様が腰の鞘から剣を引き抜く、シャリンという金属音がした。
間髪入れに、その剣を振り下ろした。
6回ほどその動作を繰り返して。
やっと、扉に張り付いた枝を払い落すことができた。
炎「……」
紅炎様は何も言わず、剣を鞘に戻して。……そのまま扉を開けた。
むわっと。
湿った空気とともに、埃っぽい空気のにおいがしたけど、おかまいなしに、中に入っていった。
紅炎様の部下の人たちもそれに続いた。
わたしはというと。
「……っ、くしゅん!」
反射的にくしゃみが出てしまった。
お日様が「あはは」と笑って、私の背をぽんぽんと優しく叩いてくれた。
覇「僕たちも行くよ1」
そういって、紅覇様もお兄さんたちの後に続いた。
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一花(プロフ) - おはようございます。沢山の閲覧、そしてお気に入りや評価、コメントありがとうございます。無事、本日(第2部は)全エピソード公開となりました。本当に有難うございます! 恐らく本日中に3部への頁もつなげます。あとがきも書きますが、一足先に御礼申し上げます。 (2014年10月5日 6時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - あとは蛇足ですが、プロットつくるまで名前辞典から引いた仮名で通すことがあります。仮名は、同じ時期に作った作品ならば共通です。今回のは、仮名時のものです。……もの凄く残念な形で表にでてしまいました_| ̄|○ すみませんm(_ _)m (2014年7月30日 13時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 鈴さん» メモ帳や、他のアプリなどに打ち込みしたものを、公開時に名前変換可能にしています。……つまりは、主人公名の変換ミスです。混乱を招いてしまい、すみませんでしたm(_ _)m ご指摘くださり、本当に有り難うございますm(_ _)m (2014年7月30日 13時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 鈴さん» コメント、ご指摘有り難うございますm(_ _)m そして、変換ミス、失礼いたしました。私の夢書きスタイルですが、主人公は基本的背景をもっていて、それに沿った裏設定があります。……名前もその一部です。普段、直接占いつくーるに打ち込まない場合(続く) (2014年7月30日 13時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - こんにちは。失礼なのですが、質問です。設定で出てきた“梨奈”とは、どなたの事なのでしょう?本当に失礼ですがよろしくお願いします。 (2014年7月30日 8時) (レス) id: 94adc04a2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一花 | 作成日時:2014年7月12日 21時