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そんな風に考えたら、……生まれた国でも、煌帝国でも、わたしを大切にしてくれる人がいる。
そう思えたから、ちょっと泣きそうだった気持ちが引っ込んだ。
今、わたしを大切にしてくれる人の元に戻る。……その目的をしっかりと思いだした。
「……おかあしゃまはもっとまえに、いなくなったってきいたよ。じゃっじめんとは、ほんとは……しってるんでしょ?」
審判『確かに、それは先ほどのビジョンのなかで、お前のルフが語っていた。だが。父親はどうだ?』
「……わたしは、あのとき、おとしかきいていなかった。ぜんぶはしらない」
本当の話だ。
もう、とっくに言葉をまねる遊びもやめていた。
とっくに自分が何者かを、忘れ去っていたとき。
石の外がなんだか、さわがしくなった。それから、何かを叩きつける音がして。
しばらくして、石の壁が崩された。
……わたしの記憶にあるのはそれだけ。
でも。
それが、お日様との出会いだった。
審判『そうであったとしても、お前は聡い娘だ。自分の父親が、誰によって屠られたかは分かっているであろう?』
「……」
審判(ジャッジメント)の問いは、どこまでも厭らしいものだった。
だって。
ぜんぶ、『真実』だったから。
「……。うん。そうだね。たぶん、おとーしゃまは、こーはしゃまが……」
『真実』の否定はできなかった。
審判『お前は両親を恨まないと言った。そして、先ほどお前は、父親も自分を愛してくれていた、という真実を我に告げた。……お前は、お前を愛した父親の生を奪った皇子の存在を、一点の曇りなく、恨まないと言い切れるのか?』
また、審判(ジャッジメント)は、難しい言い方で、……わざと、わたしを試しているんだな、そう感じるようになってきていた。
だから。
「……「おとうしゃまが、わたしを、あいしてくえた」、「こーはしゃまが、おとうしゃまを、ころした」どっちも、ほんとだよ」
なるべく冷静に言うようにした。
「だけど、しかたなかった。おとうしゃまは、おとうしゃまの『くに』をかえたくなかった。こーはしゃまは、おとうしゃまに、かつのが……おしごとだった」
審判『仕方がない……それは、諦めではないのか?』
「……ちがうよ!」
ちがう、ちがう! ……審判(ジャッジメント)の言葉は絶対に、「今」のわたしのこころじゃない。
「いしのへやの、わたしは……なんにもかんじなかった。そえは、ぜんぶ、あきらめた、ってことかもしえない!」
わたしはまた頭をふった。
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一花(プロフ) - おはようございます。沢山の閲覧、そしてお気に入りや評価、コメントありがとうございます。無事、本日(第2部は)全エピソード公開となりました。本当に有難うございます! 恐らく本日中に3部への頁もつなげます。あとがきも書きますが、一足先に御礼申し上げます。 (2014年10月5日 6時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - あとは蛇足ですが、プロットつくるまで名前辞典から引いた仮名で通すことがあります。仮名は、同じ時期に作った作品ならば共通です。今回のは、仮名時のものです。……もの凄く残念な形で表にでてしまいました_| ̄|○ すみませんm(_ _)m (2014年7月30日 13時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 鈴さん» メモ帳や、他のアプリなどに打ち込みしたものを、公開時に名前変換可能にしています。……つまりは、主人公名の変換ミスです。混乱を招いてしまい、すみませんでしたm(_ _)m ご指摘くださり、本当に有り難うございますm(_ _)m (2014年7月30日 13時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 鈴さん» コメント、ご指摘有り難うございますm(_ _)m そして、変換ミス、失礼いたしました。私の夢書きスタイルですが、主人公は基本的背景をもっていて、それに沿った裏設定があります。……名前もその一部です。普段、直接占いつくーるに打ち込まない場合(続く) (2014年7月30日 13時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - こんにちは。失礼なのですが、質問です。設定で出てきた“梨奈”とは、どなたの事なのでしょう?本当に失礼ですがよろしくお願いします。 (2014年7月30日 8時) (レス) id: 94adc04a2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一花 | 作成日時:2014年7月12日 21時