エピソード73 ページ30
いつもはこれで終わりだけど、今日は外出で寒くないように、さらに上着として、松葉色の長い羽織をかけられる。襟部分は浅緑で軽やかな印象。
彩「いかがでしょうか」
「完璧です……」
匠の技に、つい敬語になる。
彩「ふふふ。A様にそう言って頂けると、嬉しいです」
(……この人はどこまでピュアなんだ)
私が褒める。それだけで、顔お赤らめ、嬉しそうにほほ笑む。
そんな彼女の純粋さが私は好きだ。
彩「それではこちらにお座りください」
そういって、彩凛が桐に深紅のビロードの張られた腰かけを用意する。
「はい」
私は大人しく座って、足を少し宙に浮かす。
馬に乗るため、足元が軽やかになるよう、彩凛が袴の裾を、銀糸で絞ってとめてくれる。
それから、韈(たび)を履かせられた。
腰かけから立ち上がり、彼女が差し出す白い絹糸を編んで作った靴……糸鞋(しがい)に足を入れる。
彩「浅履はどうしますか?」
「雪が残っている山も通ることになるし……お願いするわ」
湿った土や、雪道を通る際に糸鞋を覆うようにしてはく浅履。
普段は必要ないが、今回の旅には必要になる。……彩凛の時や場所を考えたうえでの衣装選びの目は確かだ。
黒に近い色をした柔らかな皮製の靴を、彼女は台車から出してきた。
そして私の前で膝まづき、そっと、糸鞋のうえに履かせてくれた。
「ありがとう」
彩「いいえ。御髪はいかがいたしますか?」
「うーん」
私は鏡の中で、すっかり外出使用のお姫様姿の自分を見ながら首をひねる。
ストレートな黒髪。腰のあたりまでの長さ。
このままだと、乗馬するには邪魔だ。
かといって、結いあげるのは時間もかかるし、……面倒くさい。
彩「日ごろのように、ポニーテールでよろしいですか?」
「あ、うん」
ポニーテールは自分でもできるし、楽だ。
(……彩凛は私の性格も良く分かっているなぁ)
感心している内に、あっという間に髪型が完成する。
頭の高い位置で一つくくりにされた髪。
髪をくくるのは。唐紅に、金糸が混じった飾り紐。
……流石、彩凛だ。
私がどんな髪型を望むか、本当は最初から予想して、袴や帯に合わせた紐を選んで持ってきていたのだろう。
「ありがとう」
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一花(プロフ) - 練 雛姫さん» いえいえ(^^) こちらこそ、有難うございます。これから、宜しくお願いしますね! (2014年7月27日 19時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
練 雛姫(プロフ) - 一花さん» 出来ました!有り難う御座います!!これから宜しく御願いします(*^▽^)/ (2014年7月26日 22時) (携帯から) (レス) id: 6f946666e9 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 練 雛姫さん» いえいえ! 雛姫さんの、こみゅ〜のページで、「友達リスト」をクリックすると、申請者に、きっと一花がいるはずなので、許可をぽちっとしてやってください(^^) (2014年7月26日 21時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
練 雛姫(プロフ) - 本当に申し訳無いのですが友達申請ってどうすれば受理できるのですか?(;_;) (2014年7月26日 12時) (携帯から) (レス) id: 6f946666e9 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 練 雛姫さん» そ、そこまで喜んでくださると、本望です。アカウントをお持ちだったようですし、友達申請出しますね。独り言だらけですが、宜しければ、受理してくださいませ! (2014年7月25日 15時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一花 | 作成日時:2014年4月6日 19時