エピソード54 ページ11
「いや、そこは好かれなくて良いです。ちゃんと自分で起きてください」
乾いた突っ込み。――いつもと変わらない、兄妹のやりとりだった。
明「そうそう、その調子ですよ」
(……まぁ、明兄なりに激励しているつもりなんだよね)
私は好意的に義兄の言葉を解釈することにした。
「じゃあ、明日は早いから、私ももう失礼します。さっき紅覇お兄ちゃんが言っていたけど、朝は7時前に東門に行けばいいんですよね?」
明「はい。荷物の手配は済んでいますか?」
「昼食の時に女官にまとめてもらうようお願いしました」
明「では。朝は早くなりますが、まとめた荷物は先に馬に積みますので、5時ごろには東門に荷物を運びに来るように、再度伝えておいて貰えますか?」
「分かりました。夕飯の際に伝えます」
明「一応、私からも女官長に言っておきましょう」
「ありがとうございます」
軽く礼をする。
顔をあげると、明兄が、何やら三つ折りにした紙を差し出してきた。
「……これは?」
受け取りながら訊く。
明「紅覇にも渡しましたが、道中の地図です。関所に辿り着くぎりぎり2、3日は山越えになりますが、一応、旅人用の山小屋の位置をチェックしています。それから、山に入るまでは、夜は町を通るルートにしています。評判のいい宿場に印をつけていますから、そこで宿をとってください」
お金は、明日出立の際にお二人に渡しますから、と指示された。
過保護な次兄のお陰で、何から何まで、至れり尽くせりにお膳立てされた旅ができそうだ。
バルバッドのことで忙しいはずなのに、本当に有難い。
私はもう一度、……今度は深々と頭を下げた。
「――ありがとう」
私ができるお礼は、無事に北東郡の関所に辿りつき、現場で何が起こっているかを知り、なるべく穏便にその問題を解決することだ。
初めての城外交渉は、緊張もするが、気遣ってくれる家族がいる。
私が精いっぱい力を発揮できるよう、サポートしてくれる義兄達……頼もしい味方である彼らの存在は、私の心を強くしてくれる。
「……ちゃんと、お役目を果たしてくるからね!」
明「期待してますよ」
次兄の笑顔に見送られ、私は自分の部屋へと帰って行った。
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4/13【御礼】
読んでくださり、有難うございます。
早くも3000を越すhit、そして多くのお気に入り登録と評価、感謝いたします。
次回は束の間の炎兄ターンです!
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一花(プロフ) - 練 雛姫さん» いえいえ(^^) こちらこそ、有難うございます。これから、宜しくお願いしますね! (2014年7月27日 19時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
練 雛姫(プロフ) - 一花さん» 出来ました!有り難う御座います!!これから宜しく御願いします(*^▽^)/ (2014年7月26日 22時) (携帯から) (レス) id: 6f946666e9 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 練 雛姫さん» いえいえ! 雛姫さんの、こみゅ〜のページで、「友達リスト」をクリックすると、申請者に、きっと一花がいるはずなので、許可をぽちっとしてやってください(^^) (2014年7月26日 21時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
練 雛姫(プロフ) - 本当に申し訳無いのですが友達申請ってどうすれば受理できるのですか?(;_;) (2014年7月26日 12時) (携帯から) (レス) id: 6f946666e9 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 練 雛姫さん» そ、そこまで喜んでくださると、本望です。アカウントをお持ちだったようですし、友達申請出しますね。独り言だらけですが、宜しければ、受理してくださいませ! (2014年7月25日 15時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一花 | 作成日時:2014年4月6日 19時