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『まず、鍵!!空いてたよ!』
『え、嘘!拳さん、合鍵で入ってきたんじゃないの?』
『そのつもりだったけど、普通に空いてたからね。もし、泥棒や、悪い人が入ってきたらどうするの!』
『…ごめ、なさい…』

それは…Aが悪かった。疲れてたとは言え、それはダメだね。気をつけなきゃ。

『それから、昨日、何時に帰ってきたの?帰ってきたらちゃんと連絡するって約束でしょ?連絡も繋がらないし、何やってたの!』
『…あぅぅ…』

確かに、アルバイトを始める時に、色々約束させられたんだ。
帰ってきたら、ちゃんと連絡するってのも、その1つ。

『…昨日は…色々あって…疲れちゃって…』
『連絡くらい出来るでしょ?』
『…充電きれちゃってたんだもん…』

モジモジとパーカーの裾を弄る。

帰ったら連絡すること
未成年なんだから、10時には帰ってくること
それより遅くなるなら、連絡すること

それから、これは継続して、だけど、男の人のいる飲み会には行かない、お酒は飲まないってのもある、かな。

どうしよう…A、かなり約束破っちゃった、かも…。

『…で。何時に帰ってきたの?』
『あのっ…』
『ちゃんと正直に言いなさい』
『だってぇ…拳さん、怒る…』
『怒るようなことしたの?』

ん?と顔を覗き込まれるけど、拳さんの顔見れない。
大好きな拳さんなのに…久しぶりの拳さんなのに。

『…12時くらい…』
『過ぎてたでしょ!!』
『っ!!知ってるなら聞かないでよ!』

玄関の音で、いつ帰ってきたとかすぐ分かっちゃうんだから…ほんとに、善し悪しだ!

『で?12時過ぎに帰ってきて、何やってたの?』
『…バイト先の人とご飯行ってただけ…だもん。男の人いたけど…飲み会じゃ、ないし…』
『…屁理屈』
『…っ!』
『12時過ぎまで男の人と一緒にいたんだ。連絡もせずに…ふーん』

Aも、悪いとこいっぱいあったけど…、でも、昨日は、ほんとにスマホの充電きれちゃってたし、ご飯だって、Aを慰めてくれただけだし、そんな風に頭ごなしに責めることないじゃん!

『拳さんのバカっ!拳さんのこと好きだけど、今日の拳さんやだ!!』
『はぁ?Aが悪いのに反省もせずになに?約束破ったら、まずはごめんなさいでしょ?そんなことも忘れたの?』
『っ!やだっ!ごめんなさいしないっ!A、もう子供じゃないもん!』

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作者名:奈絆 | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年9月19日 22時

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