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その考えが頭に浮かんでしまうと、もう我慢できなくなってしまって、人目もはばからず、ぼろぼろっと涙が溢れて止まらなくなってしまう。

『…A、大丈夫?』
『職場の人なんじゃない?』

なんて声を掛けてくれるけど、全然頭に入ってこなくて、マイナスな考えしか浮かんでこない。



こんな気持ちのまま、2人と楽しく遊ぶことなんて出来なくて、謝ってAだけ1人帰ってきた。
その間も、全然涙が止まってくれなくて、周りの人から変な目で見られちゃった。
2人が言った通り、職場の人かもしれない…ただ、知ってる人にたまたま会っただけかもしれない…ってプラスに考えようと思っても、でも、浮気かも…Aと別れたいのかも…なんてマイナスな気持ちが溢れてきて心を支配してしまう。

こんな風に人を好きになって、人と付き合うことがほんとに初めてだから、こういう気持ちをどういう風に処理したらいいか分からない。

泣いて泣いて、ほんとにずっと泣いて…そろそろ涙が枯れて来た頃、ピロンっとスマホから通知がなった。
スマホの画面には『拳さん』の文字。

『…拳、さんっ…っ…』

好きな人が出来たから別れよう…とかだったらどうしよう。
怖くて怖くて…拳さんからのLINEを開けることが出来ない。
またじわーっと涙が溢れてきてしまう。
枯れるほど泣いても、まだ涙って溢れてくるんだ…なんてそんなことは冷静に考えられるのに、拳さんのことになるとほんとにどうしていいか分からない。

拳さんからのLINEを見ることが出来ないまま、1日が過ぎていった。





夜中も拳さんと女の人のことを考えてしまってなかなか眠れなかったけど、窓からの明るい光を見ると、なんとか少しは眠れたみたい。
昨日ご飯も食べられなかったから、少しお腹すいた…。
昨日買い物行けなかったから、朝ごはんなんにもないや…。
コンビニでも行ってこよう。

それでもあんまり食欲がなかったから、コンビニでおにぎりを1個だけ買って、家に帰ろうと階段を登っていると…。

『あ!A!!』
『っ!!!拳、さんっ…』

まさか、出勤時間と被ってしまったみたいで、今はまだ会いたくなかったのに、拳さんと鉢合わせてしまう。
大好きな拳さんなのに…顔みられない。

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作者名:奈絆 | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年9月19日 22時

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