検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:18,754 hit

3 ページ20

『昨日からなんで連絡しないの?何回も連絡してるのに…心配するでしょ?』
『……っ…』

そんな風に優しい言葉を掛けられたら、我慢できないよ。
また、じわーっと涙で視線が揺れてしまう。

『…A?どうしたの?なにかあった?』

拳さんがAの顔を覗き込もうとするから、急いで首を振る。
こんな酷い顔、見られたくないっ!

『…っ…ひぅっ…』
『泣いてるの!?どうしたの?俺の家、おいで?』

手首を掴まれて、優しく引っ張ろうとする拳さんの手を振りほどく。

…浮気、したんじゃないの?
Aと、お別れ、したいんじゃないの?

『…A?』
『っ、…っ…お別れ…やだっ…浮気、だめだよぉ…』
『は?』

何とか気持ちを伝えるけど、拳さんは訳分からないと言った表情で首を傾けている。

『…何言ってるの?浮気?Aは、俺が浮気してるとでも思ってるの?』

拳さんの表情が、曇っていくのが分かる。ってか、少し怒ってる?

『だって…だって、見たんだもんっ!!』
『…いつ?』
『きのうっ…女の人と仲良くしてたの見たんだからっ…』

昨日の拳さんと女の人のことを思い出して、またポロポロっと涙が零れてしまう。
それなのに、拳さんが呆れたようにはぁぁぁとため息をつくから、びくっと体が震えてしまう。

『…今日の夜、話そっか。…ちゃんとお利口に待ってて』

小さくこくんっと頷くと、『仕事だから、行ってくる』と言って、拳さんがあわてて仕事に向かうのを見送った。

…昨日の、浮気じゃなかったの?
拳さん、少し怒ってた。
Aが浮気を疑った、から?
でも、あんな風に親しげに話してたら…誰でも心配になっちゃうと思う。

部屋に戻って、買ってきたおにぎりを食べた。
まだ、拳さんから直接聞いたわけじゃないけど、浮気じゃなかったなら…良かった。
お別れ…しなくても、いいのかな?
まだ、拳さんの彼女でいいのかな。
でも、浮気を疑うような彼女じゃ嫌だって言われちゃうかも…。

また気持ちがマイナスの方に傾き掛けたので、ぶんぶんと首をか横に振った。

『…ちょっと寝てから大学行こう』

4→←2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.0/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
71人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:奈絆 | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年9月19日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。