エピソード41 ページ44
――コンコン。
……。
中から反応はない。
――コンコン。
……。
やはり、中からは反応がない。
(……)
ここにきて、私の頭には一つの可能性が浮んでいた。
――コンコン。
……。
(……うん。間違いないな)
私はため息交じりに苦笑した。
部屋からの返事はないけれど、私は執務室の扉を開けた。
そして。――大声で叫んだ。
「紅明お兄ちゃん! 今は業務時間中ですよ!!」
バサバサバサッ。
書類の山がが崩れる音がした。
明「……っは! 私は一体……」
明兄が寝ぼけ眼で額をおさえながら、きょろきょろとあたりを見回す。
そして、――扉の前に私の姿を見つけた。
明「あれ? A。――ずいぶん早く来てくれたんですね」
今まで居眠りしていたことを取り繕うこともせず、へにゃりと笑う兄。
(……なんというか。いつもの明兄だわ)
私は先程まで感じていた緊張が一気に解けて、苦笑してしまった。
「軍師様(じょうし)に呼ばれた以上、その補佐役(ぶか)である私が、急いで話を聞きに来るのは当然だよ?」
いいながら、執務室のなかに入って、先ほど兄が目を覚ました瞬間、床に散らばってしまった書類を拾い集める。
一通り拾い終わってから、机の角でトントンと書類の角を揃えて、兄に差し出した。
「はい」
明「ありがとうございます」
「……バルバッドのことで徹夜続きだとは思うけど、居眠りする位なら、少しでも部屋に帰って寝た方がいいよ?」
明「ははは、そうですね」
「まったく! 重要な書類を紛失したりしたらどうするんですか!」
平常時は、毎朝のように明兄を起こしている癖で、つい小姑の様な言い方になってしまう。
明「気を付けますよ」
返事は素直だが、これで言うことを聴いてくれたためしは殆どない。
……とはいえ、連日兄が忙しくしてくれているお陰で、私の睡眠時間も確保されているともいえる。
そんな恩があるから、強く追及することはやめておくことにする。
それに、今、私がここにいるのは、次兄を起こしに来たからではない。
「――で、折り入って話しとは何でしょうか?」
私は改めて、兄の眼を見つめながら尋ねた。
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一花(プロフ) - (↓の続き)いらっしゃるのは、本当に有難いです。ゆっくり更新ではありますが、常に励みになっております。たくさん、たくさん……ありがとうございます!! (2014年7月31日 19時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - いまでもお読みくださる方、有難うございます。物語は「よん」まで進みましたが、未だバルバッド入りしていない体たらくですが(滝汗) 宜しければ引き続きお付き合いくださると嬉しいです。そして、本日評価80になりました。今でも評価を押してくださる方が(続く) (2014年7月31日 19時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - すみません。。「にっ!」で、当初予定していた3分の1しか、物語が進みそうにない……という状態になったため、予告を変更いたしました(滝汗) (2014年5月18日 17時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 紅希さん» なんと……!!! 3期がある!!!(喜びに打ち震え中) 素敵な情報をありがとう(><) 楽しみがあるのは良いね♪ 今年頑張って行きぬきたいと思います(笑) (2014年4月12日 21時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
紅希 - 一花さん» 3期は2015年にやるみたいですね♪私もそれまで小説を糧に頑張ります!!w (2014年4月12日 11時) (レス) id: f6b5ca3d02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一花 | 作成日時:2014年2月3日 0時