エピソード39 ページ42
男の神官「……」
沈黙は、この場合、肯定と捉える事にする。
「元が山賊で、しかも即逃げ出しそうな輩であるならば、もとからあまり期待していなかったのでは? 我が国の機密を持っていることもないでしょう?」
ならば、国の害にはならない。……私も気にしません、と笑顔を作って見せた。
少年は相変わらずおろおろしていたが、男の方は、深くため息をつき、静かに頭を振るった。
どうやら、私の意図を読みとったらしい。
男の神官「――所詮、小物ですからね。逃げられたところで、こちらの不利益は一切ありません。……とはいえ、我々にも、面子がありますのでね」
「それならば、もし、たまたまその方々を見つけた時は、きつーーく、お灸をすえて差し上げればいいのではないですか?」
男の神官「そうですね」
「……と、いうことだそうだから、あなた、もう行っていいわよ」
私は少年に向かって笑いかけた。
少年の神官「あ! ありがとうございます」
少年があたふたとお辞儀する。
ぎこちないお辞儀……まだ新しい子なのかしら? そんなことを想像して、微笑ましく思う。
少年の神官「あ! A様にも伝言があるんです!」
そういって、少年が体を起こした。
「伝言?」
少年の神官「はい」
「……なにかしら?」
一連の流れから、少年には気弱そうなイメージができてしまったため、委縮させないよう、なるべく柔らかく聞いた。
ほっとしたように、軽くため息をついてから、少年が私に告げた。
少年の神官「紅明様が、A様に折り入って相談したいことがあるそうです。今の仕事のめどがつき次第、執務室へ来てほしい、とのことでした」
「……折り入って?」
少年の神官「はい」
(……いったい何だろう)
私の今の仕事は、バルバッドへ流す武器の管理だ。
過去と現在の局面を比べて見て、今後はどの程度の武器を現地に流すかを決める。
――だが、その仕事はもうほぼ終わったと言っていい。
今後、どのようにバルバッドへ武器を流すかの方針は、すでに組織の男に伝えてある。
「……わかったわ」
――後は指示通りにしてください、と簡潔に男の神官に命じた。
そして、私は明兄の呼び出しに応えることにした。
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一花(プロフ) - (↓の続き)いらっしゃるのは、本当に有難いです。ゆっくり更新ではありますが、常に励みになっております。たくさん、たくさん……ありがとうございます!! (2014年7月31日 19時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - いまでもお読みくださる方、有難うございます。物語は「よん」まで進みましたが、未だバルバッド入りしていない体たらくですが(滝汗) 宜しければ引き続きお付き合いくださると嬉しいです。そして、本日評価80になりました。今でも評価を押してくださる方が(続く) (2014年7月31日 19時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - すみません。。「にっ!」で、当初予定していた3分の1しか、物語が進みそうにない……という状態になったため、予告を変更いたしました(滝汗) (2014年5月18日 17時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 紅希さん» なんと……!!! 3期がある!!!(喜びに打ち震え中) 素敵な情報をありがとう(><) 楽しみがあるのは良いね♪ 今年頑張って行きぬきたいと思います(笑) (2014年4月12日 21時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
紅希 - 一花さん» 3期は2015年にやるみたいですね♪私もそれまで小説を糧に頑張ります!!w (2014年4月12日 11時) (レス) id: f6b5ca3d02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一花 | 作成日時:2014年2月3日 0時