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エピソード19 ページ22

そっと扉を開け、静かに薄暗い部屋へと入る。
幼いころから慣れ親しんだ、古い紙とインクと墨……書庫独特の匂いが私を迎える。
私の背の倍以上ある巨大な本棚が列をなして鎮座している。
――その奥に、わずかな蝋燭の灯りが揺れていた。

いつものように、そろりと灯りの方へ近づいていく。
人の気配がするところまで来て、本棚の隙間から様子をうかがう。
燭台の蝋燭に、長兄の端正な顔が照らされていた。
今日の職務は既に終えているのだろう。
正装ではなく、白い寝衣を纏っている。
揺れる灯りの中、ゆったりと机に肘をつき、書物に視線を落とす兄の気配は穏やかだ。

暫くその様子を見つめていると、ふっ、と燭台の灯りが揺れた。

炎「Aか」

炎兄が書から、私が隠れる本棚へと顔を向ける。

「あ、はい!」

炎「……。早く来い」

目じりを緩めた兄が、低く、穏やかな声で私を呼んだ。

「うん!」

いつものように、兄が気づいてくれたことが嬉しくて。
いつものように、兄が向けてくれた優しさが嬉しくて。

私は頬を緩ませて。
軽い足取りで兄の元へと歩いて行った。

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設定タグ:マギ , 練紅炎 , 煌帝国   
作品ジャンル:アニメ
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一花(プロフ) - (↓の続き)いらっしゃるのは、本当に有難いです。ゆっくり更新ではありますが、常に励みになっております。たくさん、たくさん……ありがとうございます!! (2014年7月31日 19時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - いまでもお読みくださる方、有難うございます。物語は「よん」まで進みましたが、未だバルバッド入りしていない体たらくですが(滝汗) 宜しければ引き続きお付き合いくださると嬉しいです。そして、本日評価80になりました。今でも評価を押してくださる方が(続く) (2014年7月31日 19時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - すみません。。「にっ!」で、当初予定していた3分の1しか、物語が進みそうにない……という状態になったため、予告を変更いたしました(滝汗) (2014年5月18日 17時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 紅希さん» なんと……!!! 3期がある!!!(喜びに打ち震え中) 素敵な情報をありがとう(><) 楽しみがあるのは良いね♪ 今年頑張って行きぬきたいと思います(笑) (2014年4月12日 21時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
紅希 - 一花さん» 3期は2015年にやるみたいですね♪私もそれまで小説を糧に頑張ります!!w (2014年4月12日 11時) (レス) id: f6b5ca3d02 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:一花 | 作成日時:2014年2月3日 0時

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