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エピソード16 ページ19

禁城の奥深く。
10cmはあろうかという、分厚い扉に守られた部屋がある。
そこには、古くから我が国に伝わる……あるいは、他国との貿易や戦で手に入れた、貴重な古文書が納められている。


9年前は、長兄である白雄がよく籠っていたものだ。
次兄の白蓮も、「俺はあまり書を読むのは好きじゃない」と言いながらも、将来皇帝になる筈であった兄上の助けとなるべく、頻回に出入りしていた。
その様子を見ていた紅炎お兄ちゃんも、よく書庫に出入りするようになっていた。
まだ幼子であった私は、大好きな兄達と遊びたくて、よく書庫に遊びに行った。
私が本棚の陰から兄達の様子をうかがっていると、いつも炎兄が一番最初に私の気配に気づいてくれた。

じーーっと炎兄が私を見ていると、それに気付いた白雄お兄ちゃんが「おいで」と優しく手招きをしてくれる。
私が側に行くと、「兄上は大切な勉強中なんだよ」と白蓮お兄ちゃんが私を抱き上げる。
「仕方がないね」と言いながら、頭をなでたり、ときどき意地悪で鼻をつままれたりした。
普段、私に悪戯してからかうのが好きな蓮兄だったけど、書庫でだけは、私へのからかいは少なかった。――国のためを思って勉強する、白雄お兄ちゃんを邪魔しないように。

難しい言葉が並んだ歴史書や、実生活でお目にすることができないトラン語の書物が中心に貯蔵される部屋。そこには当時、何故か甘いお菓子が常備されていた。

蓮「ほら、食べるといいよ」

白い歯を見せ、太陽のように明るく笑う兄が、それを差し出す。

「ありがとう!」

そう言って、甘いお菓子を頬張っていると、こけしみたいに無表情な従兄がいくつかの巻物を抱えて私の側にやってくるのだ。
巻物の内容は、やはりこの部屋には似つかわしくない、子ども向けのもの。――古い絵巻物が中心だった。

お菓子を頬ばりながら、白蓮お兄ちゃんや炎兄の膝の上に乗って巻物を見せてもらう。
それが私の日常だった。

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設定タグ:マギ , 練紅炎 , 煌帝国   
作品ジャンル:アニメ
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一花(プロフ) - (↓の続き)いらっしゃるのは、本当に有難いです。ゆっくり更新ではありますが、常に励みになっております。たくさん、たくさん……ありがとうございます!! (2014年7月31日 19時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - いまでもお読みくださる方、有難うございます。物語は「よん」まで進みましたが、未だバルバッド入りしていない体たらくですが(滝汗) 宜しければ引き続きお付き合いくださると嬉しいです。そして、本日評価80になりました。今でも評価を押してくださる方が(続く) (2014年7月31日 19時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - すみません。。「にっ!」で、当初予定していた3分の1しか、物語が進みそうにない……という状態になったため、予告を変更いたしました(滝汗) (2014年5月18日 17時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 紅希さん» なんと……!!! 3期がある!!!(喜びに打ち震え中) 素敵な情報をありがとう(><) 楽しみがあるのは良いね♪ 今年頑張って行きぬきたいと思います(笑) (2014年4月12日 21時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
紅希 - 一花さん» 3期は2015年にやるみたいですね♪私もそれまで小説を糧に頑張ります!!w (2014年4月12日 11時) (レス) id: f6b5ca3d02 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:一花 | 作成日時:2014年2月3日 0時

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