【銀魂】夜兎族最強と真選組最強 2

88.愛の形は人それぞれ ページ41

「俺には姉上がいたんだよ」




突然そんな話を始める沖田。




「いた？」

「肺を患ってて、少し前に死んじまった」




悲しそうな目をしながらそう話す。
そんな事があったんだな…




「姉上は土方さんを想ってて、土方さんも姉上を想ってた。だが野郎は姉上の幸せを思って、冷たくつっぱねやがったんだ」

「…」



自分の上司が自分の姉に惚れていたという
意外な事実にも驚いたけど

沖田が何でそんな話をするのか分からなかった。




「自分がいつ死ぬかも分からねェ、幸せになって欲しいからこそ姉上を拒んだ」

「…」

「女ってのァ、何でどいつもこいつもそんな野郎の事をいつまでも待ってやがんでィ。お前もそうなんだろ？」




土方さんと神威を、沖田の姉と私を重ねて
沖田はそう言ったんだろう。



待ってる…か。


確かに私は神威の帰りを待ってた。
神威が元の神威に戻るのを待ってた。



好きだから…
理由なんて一つしかない。




「……信じてるからだよ」

「…」

「本当のアイツを知ってるからこそ、どこかで信じてるんだよ」




プライドは人一倍高いけど
本当は優しいアイツを。




「でも神威にも、今の話を聞いて土方さんにも教わったよ。追いかける事ばかりが愛じゃない。引く事も愛の一つだって…」

「…」

「最後くらいアイツの言う事を聞いてやろうかなと思ってね」




私は笑顔でそう言った。



上手く笑顔を作れてなかったかもしれないけど
顔が引きつってたかもしれないけど


もし次アイツと会ったときは
春雨と牙刃隊、敵同士、これでいいんだ。




「……奴ァ土方さんとは少し違う」

「えっ？」

「追いかけてくる奴を突き放しはするが、逃がしはしねェよ」




そう言って沖田は顔をあげ
ジッと私を見て




「奪ってやらァ、奴からお前を」




そう言った。

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