全部好き。【黄瀬涼太】

LikeAbout２７　手紙 ページ27

涼太side



翌日…



練習前にカノジョへメールした。





[６時に神社で待ってるっス！お互いに練習頑張ろう！]



…って。





ようやく今日、温めていた気持ちを言える。



最初は興味から近付いたけど、今は至って真剣っス。





ダンダンッ



ボールのドリブル音に、いつにも増して気合いが入りそう。





笠松「…雨が降りそうだな」

森山「夜遅くに降るって、天気予報じゃ言ってたぞ」





夜遅くに雨…



Aちゃんと会う時間帯は、まだ何とか持ち堪えそうだ。





それから日中、ぶっ倒れそうな位の練習量をこなした。





『あちー…水、水』

男「黄瀬ー、コレ預かったぜ」

『…？』





部のセンパイから、可愛いメモ用紙を受け取る。



開くと、丸い文字でこう書かれていた。





[居残り練習をする事になってしまったので、待ち合わせ場所を近い所にしたいんだけど…
【浜辺の時計台】でもいいかな？
楽しみに待ってます！]





文章の最後にはカノジョの名前。





待ち合わせ場所の変更か…





『まだ近くにいます？』

男「いや、急いでるらしくて走ってったぞ」

『そうっスか…』





返事した方がいいと思ったんスけどね。



仕方ない、メール入れとこ。





鞄の中から携帯を取り出し、タップしてみるが…





充電がないっス！！



しまった…



充電器は部屋に置いてあるし。



こうなったら直接、浜辺の時計台へ行くしかないかも…





そして、約束の時間を迎えた…



雨雲が浮かぶ中、時計台の下でカノジョを待つ。



辺りを見回したり、時計の針を何度も確認する。





ポツポツ…





『雨…予報より早いっスね』





傘忘れた…



取りに行きたいけど、その間にAちゃんが来たら…



小降りだし我慢しよう。





サァーッ





PM６：３０



来ないっス…




もしかしたら、来る途中で何かあったんじゃ…



もしくは、練習が長引いてる？



急に心配になってソワソワし出した。





エリカ「涼太くんっ！」

『…？』





…は？



カノジョ以外来る筈もない場所へ、エリカちゃんが何故？



訳分かんねー。





エリカ「傘も差さないで風邪引くよ？」

『どうして、オレが此処にいるって…？』

エリカ「涼太君の考えてる事なら、何でも分かるの！」






不自然なエリカちゃんの登場は、裏がある気がして警戒してしまう。



Aちゃんは一体、何処に？

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