バレました ページ41
「菜穂子ちゃんどうしたの?」
「うわっえぇと、何でも無いですよ。」太宰さんに急に話しかけられてしどろもどろになってしまった。太宰さんの腹黒そうな笑みが目の前に在る。
「本当に?」
えーどうしよう?逃げられるなんて事は無いから…ストレートに訊ける事…でもないし、言い逃れは此の人に通用しないし。そして私は物陰に引っ張られ太宰さんに何が在ったのか説明した。
「はぁ其奴らの云っていた太宰と云うのは紛れもなく私だよ。其れに昔はポートマフィアで一応幹部だったけれど今は探偵社の社員だからね。」
「そうだったんですね。でも何故此処に?」
幹部と付けばかなりのお偉いさんだと思うのだけどポートマフィアが嫌になるような事が在ったのだろうか。
「少し友人と色々在ってね。ところで其の手に持っている封筒は何?」
「此ですか。此はさっき云っていた書類ですが見ますか?」
そう云って私は太宰さんに封筒を手渡した。
◆太宰視点
よくここまで調べたものだ。菜穂子ちゃんは少々大胆だが何かしらの証拠や手掛かりを掴んで来る。手渡された書類を持ち帰って見ているが抜かりなく親まで調べているのが彼の子らしいと思った。中学生くらいなら親の影響は色濃く反映される事が多いし親の名前で泊が付く事も理解した上で利用し易い年齢だけれど逸れを理解し相手の行動を予測している。書類をパラパラと捲っていくと最後のページに”関わるな"と菜穂子ちゃんの字では無い文字で走り書きが在った。関わるなと云うことは菜穂子ちゃんの身を案じているのだろうか。しかし、もし本当に関わってほしくないのなら口頭で云えばいいのだから行動に裏が在りそうだ。
ふと菜穂子ちゃんの席を見るともう帰ってしまっていた。
ーー
おまけ ある日の探偵社
「上橋、太宰を探して来てくれ」
「またですか…今週に入ってもう3回目ですよ。まだ火曜日なのに。」と私はぼやきながら席を立った。臭いで朔や綾にたどって貰えば早いが川に入られると私がまた濡れる羽目になるのだ。着替えは常時置いてあるものの面倒臭い。菜穂子は渋々太宰を探しに行った。
「菜穂子ちゃんが嫌そうに云うの始めて見ました。」暫くして谷崎がふと呟いた。
「だって菜穂子ちゃん太宰に仕事押しつけられてるしね。」誰も気づいて無いけど僕はお見通しだよ!と乱歩が胸を張ったその時
「あれ太宰さんだったんですか!なんか書類の量が多いと…!」勢いよく菜穂子が帰ってくると国木田は同情したように肩に手を置いた。
11人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:れな | 作成日時:2017年1月13日 0時