犯人は ページ25
太宰さんと雅人さんの呼びかけで病室にて花乃さんを除く全員が揃い
「犯人は貴方がたでしょう?」
と雅人さんが指差したのは……私と鈴さんだった。
「えっ!何でですか?」
云われなければいけない所が全く無いと思うのだけど。
「貴方なら父さんに毒を入れるのも焼き菓子に入れるのも可能です。何故ならずっとお義母さんについていましたし、真っ先に証拠を見つけていたからです。母さんも父さんに毒を盛るなんて簡単でしょう。逸れに上橋さん、貴方には今までの記録が有りませんよ?」
今まで此処には存在してなかったから記録が無いのは仕方がない。けれど鈴さんと居たからと云って勝手に犯人にされるのは不本意だ。鈴さんだって毒を盛れるような人とは思えない。
発言しようとしたけれど太宰さんに止められてしまった。そして国木田さんが静かに証拠を突きつけた。
「犯行は毒、薬品についての知識がなければ出来ない。それも少し知っているだけでは無理だ。因みに抽出方法や加減は全て此の本にあった。大朗さんの時は鈴さんが離れた時に入れ、小麦粉には朝の内に入れたのだろう。」
「井戸で教えられた知識があればできるよね?」と太宰さんは付け足しふふっと笑う。暗く冷たい笑みだ。そして一瞬あの匂い−死臭がした気がした。
「は、犯行の動機は何だと云うんですか?」
まだ雅人さんは諦め切れ無いようで酷く狼狽して云った。
是なら私にも分かる。
「貴方の不倫です。離婚はご両親にも反対されていたと聞きました。然も貴方の方から別れたいとおっしゃったそうですね。望さんは別れないっておしゃってたとか。」と太宰さんは云う。
暫く誰も話せなかったが
「詳しくは署で話を聞きましょうか?」と声がして警察の人が入ってきた。そして雅人さんは容疑者として警察に連れて行かれた。
その後雅人さんは犯行を自白し、其れは太宰さんと国木田さんが云った通りのものだったと警察の人が驚いていた。
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作者名:れな | 作成日時:2017年1月13日 0時