十六 ページ16
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「近藤さん、こんなとこにいるってことはお仕事お休みなんですよね?」
「まぁ…」
「じゃあ私とデートしてくれます?」
「はっ…えっ!?いやっ…え!?」
口をぱくぱくとしながら、後ずさりする。
(中学生かよ…)
「嫌なんですかぁ?せっかく誘ってるのにー。ま、しょうがないか、私容疑者だし」
「俺でよければ是非!!!」
全力で土下座する男。
やれやれと言ったようにため息をつき、外に足を踏み出す。
今も尚寝ている四人に小声で行ってきます、とだけ言って屋敷を出た。
警察と容疑者が並んで街を歩く。
なんて滑稽な話だろうか。
「近藤さん、お団子奢ってください。あ、ちなみに私最低でも十本は食べますんで」
「え?ちょっ、ちょっと」
無理やり引きずって団子屋の椅子に腰掛ける。
適当に何本か頼んで、鼻歌を歌いながら、団子を待つ。
近藤は財布を開けて、重い溜息をついた。
頼んだ団子がきて、両手に一つずつ持って頬張る。
「奢ってくれてありがとうございます」
「最初からそのつもりだったでしょ…」
「でもなかなか悪くないでしょう?私とのデート」
もぐもぐとしながら笑えば、呆れた顔をした。
「あ。近藤さんいつの間に彼女できたんですかィ」
突然来た茶髪の男は注文してAの隣に座った。
沖田はAを見て楽しそうに笑う。
「よぉ。容疑者サン。こんなとこでうちの大将とデート?このまま連れ込んで内部探ろうとしてる?」
「私にはそういう趣味はありません。奢ってもらうためです」
沖田は舐めるようにAを見る。
特に前髪の下が気になるようで。
「結構腕とか傷跡多いけど、アンタ戦えたりすんの?」
「多少は」
「どっかのチャイナバカと似た雰囲気するけど気のせい?」
「…気のせいですよ」
(何なの…この人)
にやにやと怪しげな笑みを浮かべてこちらに問いかける。
悪戯っ子の笑みというよりも悪魔の笑みだ。
「太陽嫌い?」
「…別に」
団子を口に押し込んで、言葉を減らす。
「俺ァ、今回の事件。犯人は一人…しかも天人だって読んでる。アンタはどう思う?」
「私に聞いて何がわかるんですか」
自分でもわかる苛立ちの籠った発言。
「一応参考程度に」
「面白い推理なんじゃないんですか」
「推理、ねぇ…」
足早に立ち上がり、
「御馳走様でした失礼します」
呼び止める声も聞かないでまた逃げた。
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Nattu(プロフ) - 麗羅さん» お返事遅くなって申し訳ございません。コメントありがとうございます*辰馬凄く好きなので自家発電にと書いていましたが、読んでいただけて幸いです。楽しみながら書きたいと思います*^^ (2021年2月20日 1時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅 - 辰馬の小説、少ないので嬉しかったです!面白くて、次が楽しみです!更新頑張って下さい! (2017年10月29日 16時) (レス) id: 9e2ac1505a (このIDを非表示/違反報告)
Nattu。(2代目)(プロフ) - れんりさん» れんりさん、はじめまして。コメントありがとうございます。とても嬉しいです…ゆっくりとではありますが更新していきますので、よろしくお願いします!! (2016年4月11日 22時) (レス) id: db806a29f6 (このIDを非表示/違反報告)
れんり(プロフ) - 凄く面白いです!!更新楽しみに待ってます…! (2016年4月10日 9時) (レス) id: 285e1a358c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2015年11月17日 23時