17.宴の蚊帳の外で ページ27
〜Aside〜
「「イエーイッ!!」」
飲み会を始めて数分、すでに酔った棗ちゃんが翔太に絡んでいる。
…まぁ、翔太も同様に酔っ払ってはしゃいでいるから問題ないか。
問題なのは、坂田と渉さんだ。
棗ちゃん状態になっている坂田を相手している渉さんは、なんだか大変そうだ。
「A〜!ちゃんとのんれるかー!?」
ついに坂田がこっちにまで絡んできた。少し呂律が回っていなくて、可愛げがある。
『ふふっ、飲んでるよ〜』
そう答えて、坂田は満足したようで。また渉さんに絡みに行った。
飲んでると答えたが、実のところグラスの半分も飲んでいなかった。
飲みたい、という気持ちはあるのだが、なんだか飲む気にならないのだ。
「…、Aさーん…?」
『…えっ?あ、何?』
ぼーっと眺めていたら、いつの間にかまふくんが隣に座っていた。
「どうしたんですか?ぼーっとして…」
『いやー、うん…なんか、さ。こんな時に思うことじゃ無いことは分かってるんだけどさ…』
周りはどんちゃん騒ぎで、こちらを見たり聞いたりしていなさそうだ。
そう判断した私は、口ごもりながらも思っていることをぽつりぽつりと口に出した。
『私、あの子に…美咲に何かしてあげれてるのかなーって、思って…。』
「美咲ちゃん、に……?」
私は手に持っているグラスをテーブルに置いて、話を進める。
『…うん、美咲。いやね、あの子、実は…学校でちょっとしたいじめ?みたいなものを受けてるようなの。』
「………。」
声を上げて驚くと思っていたが、まふくん驚きはしたもののじっと黙って私の話に耳を傾けてくれた。
『別にね?クラスの人皆が皆、いじめてくる訳じゃなくって、片手で収まるくらいだけども…信じてくれてるお友達もいるみたいなの。』
……………あれ?
『それに、いじめの対策を考えてくれている先生もいるの。』
……………なんで?
『だけど、美咲に対するいじめは無くならない。』
……………なんで私、数時間前までお互い名前しか知らなかった人にこんな重大な話してるんだろ。
『そんな、苦しんでる美咲に…私は何かしてあげれてるのか…って思ってね…?』
私は、乾いた笑顔でグラスを手に取り少し飲む。
私とまふくんの間に重い沈黙が流れる。ほかの人達は、私たちのことに気付かずにまだどんちゃん騒ぎしているのに…
私の耳に全く入ってこない程、静かに感じる。
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柊花-トウカ-(プロフ) - ティラミス信者さん» ありがとー!改行は今検討中なの(苦笑)更新頑張るねー! (2018年11月16日 23時) (レス) id: 1c746f653b (このIDを非表示/違反報告)
ティラミス信者(プロフ) - 続きが気になる!!読みやすいし文の構成もいい感じ!でも改行が多すぎると内容がスカスカに見えちゃうかもだからそこ気を付けて!読ませてくれてありがとー!!応援してるよ!! (2018年10月20日 20時) (レス) id: d109ac88fc (このIDを非表示/違反報告)
Ayame(プロフ) - ひかりさん» ありがとう、読んでくれてほんとありがとう。(笑) (2018年8月2日 18時) (レス) id: 1c746f653b (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 好きでした。ありがとう。あ、私、青い鳥の星月ひかり。ね!好きでした←分かった (2018年8月2日 18時) (レス) id: 1a6872b126 (このIDを非表示/違反報告)
Ayame(プロフ) - 怜衣さん» 当たりです!後に人物紹介を上げようとしてたのを忘れてました…← 棗ちゃんはなんか、酒飲みっぽかったので出してみました(笑) (2018年1月12日 0時) (レス) id: 1c746f653b (このIDを非表示/違反報告)
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