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櫻「17時過ぎるとこんなに人減るんだな」
文化祭準備優先時間は17時まで。
その後は1,2年生は部活、3年生は塾といったように各々の放課後を過ごす。
残って作業する人もいる。
櫻「って話してくれてたな」
生徒へのインタビューから得た情報を、既に私に説明できるほどに自分のものにしている。
うん、翔だ。
この人数なら、芸能人がいてもそこまで騒ぎにならないだろう。
幸い密着の一環だと思われているようで、ちらっとこちらを見てはいるものの、誰も声をかけて来なかったため、何事もなく3年2組に着くことができた。
そこにはー。
「あれっ？ どうしたんですか？」
櫻「スマホ忘れちゃって…」
「玲、あれじゃない？」
「あ、そうかも」
櫻「そう！ちょっと失礼」
14人いた賑やかなさっきまでとはうって変わって、二階堂くんともう1人がいるだけだった。
櫻「…2人だけ？」
「はい。…でも今日は10人以上手伝ってくれたので、目標は達成できそうです」
櫻「そっか…」
「翔、そろそろ行こ？」
櫻「あ、うん…」
返事はしたものの、翔は歩き出そうとはしない。
…仕方ないなぁ。
私は翔に近寄り声をかけた。
「15分だけならここに居られるけど？」
櫻「…えっ？」
「作業手伝いたいんでしょ？」
櫻「…どうしてわかるんだよ」
「だてにマネージャーやってませんから」
櫻「…ありがとう。向こう行ったら全力で頭下げるから！」
そう言いながら2人のもとへ歩み寄り、作業を手伝い始めた。
櫻「A、ここ持って！」
「私も？」
櫻「当たり前だろ？」
「まったく…。今行く！」
もともと雑誌の撮影には余裕を持って着く時間だったから、私も心置きなく手伝うことにした。
「あれ？スタッフさん？」
…そういえば二階堂くんにはそう言った覚えがある。
「あ、えっと、それは…」
櫻「スタッフ？」
「え、さっき密着スタッフとおっしゃって…」
櫻「A、どうせまた迷惑にならないようにー、とか考えたんだろ？」
「…何でわかるのさ」
櫻「だてに幼馴染やってませんから」
「…そのドヤ顔ムカつく」
「あ、あのー」
櫻「あっ」
翔の視線の先には、ポカンとしている二階堂くんとその友だちがいた。
「ごめんなさい、二階堂くん。私、ただの密着スタッフじゃないの」
櫻「俺のマネージャー兼幼馴染だよ」
私の本当の自己紹介も果たし、私たちはいつのまにか作業に没頭していた。
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作者名：なつらい | 作成日時：2018年8月5日 17時
