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繁忙期を超えた後の休日ほど素晴らしいものはない――というのが、社会人生活もうすぐ五年目にしてしみじみ思う現実だ。度重なる残業と、二週間続いた休日出勤から解き放たれた時の充足感と言ったら、それはもう私のお粗末な語彙力では言い表せないものだろう。
まだ肌寒い三月の土曜日。朝は十時過ぎまでダラダラとベッドの中で、Twitterと好きな動画を眺めて過ごした。怠惰な女だという自覚はあるが、ようやく仕事が一息ついたのだからこれぐらいは大目に見て欲しい。
ベッドからのそのそと這いずり出した後は、トーストにベーコンエッグとコンビニのサラダ用カット野菜で簡単なブランチを済ませる。ちゃんとフライパンにベーコンと卵を放り込んで焼いているのだから、手抜きと言わずに褒めて欲しい。まあ褒めてくれる人も居ないけれど。
その後、洗濯機を回し、何日ぶりか分からないほど久々に掃除機をかけ、なんて事をしていたら、あっという間に十二時を回ってしまった。
ふと、一ヶ月以上前に買った小説をまだ読めていなかった事を思い出す。本と言うより鈍器と呼んだ方が相応しそうな分厚さの本は、激務の続いたこの一ヶ月の間、とてもじゃないが手を付けられなかったのだ。
今日明日は特に予定も無い。ならば、今こそあの小説を読み始める時なのだろう。そうと決まったら、これから明日の晩まで家に引きこもる準備を始めなければ。
紅茶もコーヒーも充分にストックがある。ただ、ちょっと摘まめるようなお菓子の類が一切無い。素敵な本には美味しい飲み物とおやつを、というのが信条の私としては、現状、読書に対して万全の体勢であるとは言えなかった。
これだけ分厚い本を読むのだから、お菓子もそれに見合う物がいい。さて何にしようかなと考え最初に浮かんできたのは、最寄り駅に隣接したデパートに入っている、少しお高めなチョコレートだった。そうだ、それがいい。
さて、すぐそこのコンビニに行くのならまだしも、最寄り駅とは言えデパートに行くのなら、流石にスッピンというわけにもいくまい。とは言え、ちょっと買い物をしてすぐに帰るのに、しっかりと化粧をするのも面倒臭い。
十分弱で終わるような簡単な化粧を済ませ、私は家を出た。
＊ ＊ ＊
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奈都(プロフ) - Komiさん» コメントありがとうございます。トロイメライが出来上がってる二人の話なので、順番が逆になってしまうのですが、あの関係になるまでにこんな流れがあったんだな、という感じでお読み頂ければ幸いです。出来るだけマメに更新していくので是非今後もお願いします…！ (2019年9月14日 16時) (
レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
Komi(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます！トロイメライの頃からizwさんの2人が大好きで、始まりのストーリーが読めるのがとても嬉しいです^^毎日更新を楽しみに生活しています笑これからも応援しています！！ (2019年9月14日 5時) (レス) id: 31bd00c83a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奈都
| 作成日時：2019年8月11日 10時
