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目当てのチョコレートを買い、ついでにスーパーでその他食料品の買い物も済ませた。明日まで引きこもる準備は万端だ。帰宅したら速攻で部屋着に着替え、紅茶を淹れてからあの本を開こう。そう考えるだけで心が弾む。
自然と軽くなる足取りで大通りから道を一本曲がった瞬間、異様な光景が飛び込んできた。
道端にうずくまる男性の背中があったのだ。
「え……」
靴紐でも直しているのかと思ったが、どうもそうではないらしい。大きなクーラーバッグを脇に置き、トートバッグを片側の肩に掛けたその人は、片手で膝を抱えるようにしゃがみ込みながら、もう片方の手をこめかみの辺りに当てていた。どう見ても体調不良だろう。
一瞬素知らぬ顔で通り過ぎようかとも思ったが、流石にここで素通り出来るほど冷淡な人間でもなかった。もし一刻一秒を争うレベルの体調不良だったなら、とんでもない事になってしまう。
「あの……大丈夫ですか？」
声を掛けるとその男性は、ワンテンポ遅れた緩慢な動作でこちらを振り返った。その顔を見て、思わず息を呑む。
――似てる。
眼鏡にカモフラージュされてはいるが、彼の顔はつい二〜三時間前、ベッドの中で見ていた動画に映っていた人――QuizKnockの編集長に瓜二つだった。
「あ……。すみません、大丈夫です」
どう見ても大丈夫そうにない彼は、消え入りそうな声でそう答えた。聞こえた声も明らかに件の人物と同じものだが、それよりも今は彼の容体の方が気にかかる。そんな土気色の顔で大丈夫だと言われても全く説得力が無い。
「救急車呼びましょうか？」
「いや、本当に大丈夫っす。家、すぐそこなんで」
遠慮するように大きな手をヒラヒラと振るが、直後、また額に手を当てて俯いてしまう。大丈夫だという言葉を鵜呑みにしてこのまま放置していったら、数分後には倒れているのではないだろうか。それぐらい具合が悪く見えた。
何にせよ、この場に留まり続けるのは良くないだろう。
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奈都(プロフ) - Komiさん» コメントありがとうございます。トロイメライが出来上がってる二人の話なので、順番が逆になってしまうのですが、あの関係になるまでにこんな流れがあったんだな、という感じでお読み頂ければ幸いです。出来るだけマメに更新していくので是非今後もお願いします…！ (2019年9月14日 16時) (
レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
Komi(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます！トロイメライの頃からizwさんの2人が大好きで、始まりのストーリーが読めるのがとても嬉しいです^^毎日更新を楽しみに生活しています笑これからも応援しています！！ (2019年9月14日 5時) (レス) id: 31bd00c83a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奈都
| 作成日時：2019年8月11日 10時
