77.呆然と ページ1
.
「だ……大………立て」
「おい!動くな丹波!!」
口から血を流して立てないままの丹波さん
顔面蒼白の相手投手
見ていた誰もが呟いた
「夏直前で」「去年はクリス、今年は丹波か」
『………っ』
真っ先に気にしたのは
哲さん・純さん・亮さん・増子さんたち3年レギュラー陣
『…!』
呆然としている中で、悔しそうに、唇を噛み締めていた。
それでも毅然として態度には出さず。
強いよ……本当に。
「あくまでプレー中に起こったアクシデント……
そちらの投手を責めることはできません」
「ですが……今日の試合ここで終わらせてもらってよろしいでしょうか」
.
次の日は豪雨だった。
『(朝練は…ないだろうな)』
いてもたってもいられなくて何も出来ないのに早く目が覚めた。
食堂を通り過ぎ、室内練習場へと行く途中
『…あ、』
「ん?」
この人に言葉が出ないのはこんな時ぐらいなのかな。
『……おはようございます…亮さん』
.
どう、接したらいいんだろうか
とりあえず中に入って電気を付けた。
『…ストレッチ手伝いましょうか』
「ん、おねがい」
いつも通りに振る舞いたいはずなんだ、この人だって。
だめだよ、2年の私がこんなんじゃーー
『そうだ!』
私が落ち込んでも何にもならない。
『久しぶりに体チェックしません??』
「……。Aがそれ言うと、色気も何も無いね」
『そういう意味で言ってるんじゃあないですって!』
足を伸ばそうとした亮さんは私の顔をまじまじと見てから苦笑いでそう言った。
『私がこれすると調子よくなるじゃないですか〜』
「口に出すから生意気だと思われるんだよ」
『あいたっ』
亮さんからいつものチョップが飛んでくる
『ふふっ』
いいんだ。周りがどう思ったって。
『じゃ、やりますね〜足動かしますよ』
「……ありがと」
『どこか痛い……………へっ??』
「…早くしてよ」
『あっ、はい』
聞き返したい気持ちは山々だったけど
まぁ、やめとこう。
『亮さん怪我しないでくださいね〜うちの2遊間の柱なんで!』
「どうせ怪我する前にAが気付くんでしょ」
『……、なんか今日亮さん素直すぎません??』
「振り落とすよ」
『ちょっ!やめてくださいっ!!』←
良かった。
亮さんのおかげで私もなんとかやっていけそうです。
「(いつでも変わらないお前にはほんと…助けられてるよ)」
.
391人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夏乃実 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rumitann1/
作成日時:2017年4月6日 17時