59.背中 ページ22
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「そんなに変だったか?」
『……………』
哲さんの言葉には答えずに寮の入口に向かう。
置かれている素振り用のバットを持って哲さんの横に行き、少し距離をとる。
ブン!と気持ちのいい音が鳴った。
呆気にとられている先輩を横目で見ながら『哲さんもやりましょうよ』
自分から止めたのになんとも身勝手な誘いだ。
次の瞬間ブンっ!と風を切る力強い音が聞こえる。
『私も、リトルの時キャプテンだったんです』
「…………………」
『"女なのに、正捕手の上にキャプテンもかよ"』
『散々言われましたね』
2人のバットを振る音だけが響く。
『でも私、なんだかそれが楽しくて』
「楽しい?」
『初めは1人だったんですけど、がむしゃらに野球やってたら
ついてきてくれる人が増えるんです』
1人、2人とぽつぽつだったけど、負けてたまるかって必死に刺激し合った。
『頼られることがキャプテンの仕事だけど、
頼ってみるのも悪くないなぁって』
これは、私の、実体験。
哲さんのバットを振る音が止まる
『哲さんはプレーでみんなを引っ張るキャプテン』
「!!」
『でしょう?』
哲さんの驚き顔。…レアだな
「…監督に言われたのか?」
『いえ?』
『監督だったらこういうだろうなって』
「…………………」
私もバットを振る手を止める。
『部員みんなが哲さんはそういうキャプテンだってとって見てるんですよ』
どうか、伝わって。
ーーー『だから哲さん、貴方の背中を見るのも好きですけど、
たまには後ろも振り返ってみてください』
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哲さんは、他人に弱みを見せるような人ではなかったしどちらかというと 強いひと だった。
ーー『純さんや亮さん達には頼りにくいかもしれないですけど、私なら大丈夫じゃないですか?』
優しい顔した哲さんは「Aなら何でも言えそうだ」とイケメンスマイルをかましてくれた。
哲さんは強いひとだったけど周りに助けられた人でもあるんだ。
それでもかっこいい背中を見せ続けて私たちを引っ張ってきた
かっこいい、私たちのキャプテンなんだ。
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夏乃実(プロフ) - 雪星さん» 雪星さん…!まさかコメントして下さるなんて。ありがとうございますm(*_ _)m 青春の匂い。まさに私が目指してるものです。醸し出されていたなら良かったです← 雪星さんの新作も陰ながら読ませてもらいました!頑張ります^^* (2017年2月5日 22時) (レス) id: 926ac8ac50 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 初コメ失礼します…(^^;コッソリ読ませてもらってます(笑)原作沿い+オリジナル要素ありということで、青春の匂いがする素敵な作品だと思います!原作沿いならではの苦労もあると思いますが、夏乃実さんのペースで更新頑張ってください(^-^) (2017年2月5日 21時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
こん - 夏乃実さん» そんなことないです!!はい、頑張って下さい(*'▽'*)応援しています! (2016年9月16日 20時) (レス) id: 5a35b7a5ac (このIDを非表示/違反報告)
夏乃実(プロフ) - こんさん» こんさん!!コメントありがとうございます(涙)全然ドキドキワクワクする作品ではないですが楽しみにしててください(笑)頑張りますね! (2016年9月16日 20時) (レス) id: 753635ea11 (このIDを非表示/違反報告)
こん - コメント失礼します。そしてコメントして頂いてありがとうございました(T_T)夏乃実さんから頂いて本当に恐縮です。夏乃実さんの作品の更新も楽しみにしています。また見に来ます(*'▽'*) (2016年9月16日 2時) (レス) id: 5a35b7a5ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏乃実 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rumitann1/
作成日時:2016年3月13日 12時