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58.舞台 ページ21

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グラウンドに永遠とノックの音が響き渡る。



__カッ!




心なしかそのペースがどんどん上がっていくように感じる。




__カーン!




「どうしたぁ!もう声が出ないかぁ!」



この量のノックをこなす監督はもはや怪物並み。さすが甲子園出場しただけはある。


いつもはあんなに頼もしい先輩達がこんなにボロボロに。







でもなんか…いいな、って。






『…何言ってんだろ、私』

監督のノック鬼だってさっき自分で思ったのに



体の奥がうずうずする。

その場に止まっていられなくて『ナイター付けてきます』って言ってグラウンド裏に向かった。



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.





.



グラウンドに戻る途中、ふと去年の哲さんを思い出した。






__________


青心寮の横にあるちょっとしたスペース。
いつもは数十人は居るその場所で一人の男がひたすらバットを振っている。



『てーつさん!』

「………」

『哲さん!』

「……………」

『青道高校野球部主将の結城哲也先輩!』




三回呼んだところでようやく私に気づいたようでバットを振る手が止まった。




「すまない、A。俺に用事か?」



バットを振るのを止めて身体がうずうずするのか私の方を見てない。



『んー、用事っていうか少し哲さんとお話したいなぁ、と』



む?、と不思議そうな顔をした哲さんに間髪入れずに言う。








『哲さん、今野球、楽しいですか?』









虚をつかれたように目を少し見開く。






『私も哲さんのお力になれないかな、と思いましてね?』


『あまり一人で抱え込まないでください』




ようやく私が何を言おうとしているのか分かったみたいで哲さんはふわっと静かに笑った。

その笑みはすこし困ったような、呆れたような、そんな笑みに見えた。


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59.背中→←57.地力の差



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設定タグ:ダイヤのA , 御幸一也 , 青道   
作品ジャンル:アニメ
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夏乃実(プロフ) - 雪星さん» 雪星さん…!まさかコメントして下さるなんて。ありがとうございますm(*_ _)m 青春の匂い。まさに私が目指してるものです。醸し出されていたなら良かったです← 雪星さんの新作も陰ながら読ませてもらいました!頑張ります^^* (2017年2月5日 22時) (レス) id: 926ac8ac50 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 初コメ失礼します…(^^;コッソリ読ませてもらってます(笑)原作沿い+オリジナル要素ありということで、青春の匂いがする素敵な作品だと思います!原作沿いならではの苦労もあると思いますが、夏乃実さんのペースで更新頑張ってください(^-^) (2017年2月5日 21時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
こん - 夏乃実さん» そんなことないです!!はい、頑張って下さい(*'▽'*)応援しています! (2016年9月16日 20時) (レス) id: 5a35b7a5ac (このIDを非表示/違反報告)
夏乃実(プロフ) - こんさん» こんさん!!コメントありがとうございます(涙)全然ドキドキワクワクする作品ではないですが楽しみにしててください(笑)頑張りますね! (2016年9月16日 20時) (レス) id: 753635ea11 (このIDを非表示/違反報告)
こん - コメント失礼します。そしてコメントして頂いてありがとうございました(T_T)夏乃実さんから頂いて本当に恐縮です。夏乃実さんの作品の更新も楽しみにしています。また見に来ます(*'▽'*) (2016年9月16日 2時) (レス) id: 5a35b7a5ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏乃実 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rumitann1/  
作成日時:2016年3月13日 12時

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