【◇】俺らのマネージャー[２]

54.気付 ページ17

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いやいや、なにが｢好きかもよ｣だよ。

…あいつ、明らかにこいつのこと好きだし。





こいつを惑わすようなこと言って、何がしたいんだ俺。








『御幸が…私のこと…好き、かも？』


一言一言噛み締めるように言うこいつから全く思いに気づいてなかったことが分かる。





焦ったようにこっちを見てどうしようなんて縋ってくるこいつを見て



言わなきゃ良かった、なんて。









＿＿＿やべ、実は俺もこいつのこと好きだったりする？








｢かも、ってだけだっつの｣

『えぇ、ほんとに？』

｢あいつが俺に恋バナなんてすると思うか？｣

『……ありえない』

｢ヒャハハ、すげー顔｣





想像でもしたのか苦い顔で答えたAに笑い声がこぼれる。






この際だからこいつのことも聞いてみたい。
俺ほんとにこいつのこと好きなのかな。









｢そーいうお前は……好きな人いんの？｣




さりげなく聞いた体のそれにAは困ったように眉を下げた。



『好きって分かんないんだよね』

｢……………｣

『哲さんも亮さんも純さんも…御幸も倉持も、みんな好きは好き』

『その違いが私には分かんない』





珍しく真面目に話したこいつから｢本気の恋したことねーんだな｣って思った。




｢今まで好きなヤツいたことあるわけ？｣
『無い』

｢…まじか｣
『マジなんだよねー。野球に恋してた♡』




潔いほど即答したこいつに｢なら可能性あるかも｣なんて密かに思った俺は




＿もうこいつに恋しているんだろう。









｢…勘弁して欲しい｣

『え、何が』









御幸がライバルとか勘弁して欲しい。



他にもいろいろ、こいつは愛されすぎてるんだよ。


どこぞのアイドルかよ。









それを知っていながらその中に突っ込もうとしている俺が1番勘弁して欲しいのかもしれないけど。


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