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やっぱり千さんの考えすぎだと確信し、俺よりも無駄に体格の良い体を投げるようにソファへ置いた。

少々無理をした所為か節々が痛む体を伸ばしていると、Aさんが水を持ってきてくれたので有難くいただく。

夏の夜の蒸し暑い中を歩いてきたので必然的に喉が渇いていた俺は、手渡された水を一気に喉へと流し込む。

すると横からはキラキラとした眩しい視線が、その少し奥からは怒気を含んだ射るような視線が突き刺さってくるのを感じた。


これ以上ここに()ったら厄介事に巻き込まれるな。




「じゃあ、俺は帰るから。ちゃんと酔い覚ましや。」


「うん、またねー。」




身の危険を察知し、これで帰ることにして玄関へ足を運ぶ。

玄関のドアを開け外へ出ようとしたところで、まだやり残していたことがあるのを思い出した。

見送りに来てくれていたAさんを傍へ呼んで、千さんに聞こえないように小声で話す。




「あんな、千さん、ずっと会いたいって言ってたよ。早く仕事片付けて、Aちゃんに1秒でも早く会いに行くんやー、って毎日頑張ってたから優しくしたって?」


『えっ……。』


「ほなね。」




外に出るとむわっとした夏特有の空気が体に纏わりついてくる。


彼女ちゃん、驚いとったなぁ。

多分本音が言えんくて遠慮した結果すれ違ってた感じやな、あれは。

ちゃんと話し合えるとええけど。


来た道を辿って駅を目指して歩いていると、浴衣を着たカップルとすれ違う。

どこかで祭りか花火大会でもあったのだろうか。


そういえば、花火大会のチケット貰ってたな。

使う予定無いし、換金しようかと思ってたけど。


片側の口角がクッと上がるのが分かる。


どんな反応するか、楽しみやなぁ。



ー fin ー

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作者名:夏霞 | 作成日時:2019年1月27日 20時

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