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「だから、今までのこと全て冗談。意味わかる?」
「・・・この状況で全て冗談って言われても、
すぐ理解しろって方が難しいんですがあの・・・」
亮介先輩がいきなり冗談って言いだした。
言葉の意味がわからなくて、亮介先輩は正直に話してくれた。
「Aに近づいたのも、俺のこと名前で呼べって言ったのも冗談。
だから、さっきの言葉と行動も全て冗談。」
「・・・なんでそんなこと・・」
亮介先輩から聞いた言葉が衝撃だった。
まさか全部冗談だっただなんて。
「全ては御幸の気持ちを煽るため。
みているこっちはバレバレなのに、案外奥手だから。
ここまですれば行動するかなと思って。」
「・・・え?それってどういう・・」
ことですか、と聞こうとしたら、それ以上聞くなという素振りを見せたため、
それ以上聞くことはできなかった。
「でも、さっきの言動で十分気持ち見せてもらったし、俺はここで手を引くよ。
ごめんね、こんなことして。」
言葉の意味は分からなかった。
けれど、最後に残してくれた言葉でなんとなく理解して。
亮介先輩にお礼を言おうと思い振り向いたら、そこにはもう亮介先輩の姿はなかった。
『―――あとは頑張れよ、A。』
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作者名:志乃 | 作成日時:2017年7月12日 0時