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その日から、私は御幸くんに会いに行かなくなった。
引っ越しの作業で忙しいから。
本当は、引っ越しするまで、御幸くんと一緒にいる時間を増やしたかった。
でも、それじゃ引っ越しが間に合わない。
あのまま1回も会わずにこの街を去っていいのだろうか。
その感情を持ったまま、その日を迎えた
「A。そろそろ行くわよ」
「・・ごめん、お母さん!
最後にどうしても行きたい場所があるから行ってくる!すぐ戻ってくるから!」
気づいたら家を飛び出し、あの場所へ向かっていた。
昼前だから、きっといない。
ダメ元でも、御幸くんに会いに行って、ちゃんとお別れしたいんだ。
「・・・・あれ、御幸くん?」
「・・・Aちゃん?1週間ぶりだね。どうしたの?今日出発じゃなかったっけ」
ダメ元であの場所へきたら、御幸くんがいた。
「ごめんね、あの日からこなくて。
引っ越しの作業で忙しくて、どうしてもこれなかった。
だから、ちゃんとお別れしたくてきたの。」
"お別れ"
その言葉を聞いた御幸くんは、とても切ない表情になった。
「私ね、あの日御幸くんと出会えて本当によかったって思ってる。
御幸くんと出会えてから、毎日が本当に楽しくて幸せだった。
・・・だから、ありがとう」
「・・・そんなこと言うなよ。2度と会えなくなるわけじゃ、ないだろ?」
「・・まぁ確かにそうだよね。
大きくなったら絶対再会しようね、御幸くん!」
「あぁ、約束な!」
こうして、私と御幸くんはお別れした。
御幸くんには告白しようとは思っていた。
でも、今言うのではなく、再会した際言うのがいいと思ったので、
"再会したとき話したいことがある"
と御幸くんに言うと、御幸くんも同じことを言ってきた。
同じことを言われるとは思っていなかったから、驚いたな。
御幸くんは、再会したとき私になにを言うつもりなのか、気になる。
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作者名:志乃 | 作成日時:2017年7月12日 0時