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46話 ページ46

sha.side

「…なんで、俺なん」


一通り彼女に言葉を浴びせ続けた後、それでも何も言わない彼女に顔を顰めた。
沈黙に耐えられず、冷たく言い放つ。


「……ゾム様に頼むことも考えました。だけど、きっと私の運動神経ではどうやったって着いては行けないし、」

彼女は暫く間をとった後、ゆっくりと話し始める。こんなに近くで彼女が話しているところを見るのは初めてだが、心做しか部屋に篭もりっぱなしだったと言う1週間で少しだけ雰囲気が変わったように思える。

……まあ、両親を亡くした彼女の人が変わるのも、分からなくもないけれど。


「コネシマ様は私のことを嫌っているでしょうし、」

彼女の一言で、ぐにゃりと顔が歪んだ。

大先生は遠距離。力の弱い彼女に銃を扱うのは難しいだろう。忙しいトントンに教えを乞う訳にもいかない。ひとらんは刀を使うから勝手が違う。運動神経が化け物並みなゾムがダメで、彼女へ嫌悪感丸出しなコネシマがダメで、レイカちゃんに夢中なショッピがダメで。

全部、妥当な理由だ。
良くアイツらのことをわかっているし、それぞれに対して気も遣えている。
だけど。それでも、彼女が言っていることは結局、消去法で候補に残ったのが俺、という訳で。
これでも一応近接部隊隊長ともあろう俺が、消去法で?こんなろくな教養も受けていない令嬢に訓練をつけろ、と?




消去法で残ったのが俺やから。
せやから、俺?


ふざけんな。




「それに、」

下がり気味だった気分はあっという間に底辺まで下がり、自分の放つ威圧により訓練場内の空気が一気に重くなるのが自分でもわかった。

それでも話を続けようとする彼女に、早く消えろ、俺にその顔を見せるな。
そう威圧したつもりも、それを分かっているのか分かっていないのか。
顔色ひとつ変えず、漆黒の真っ直ぐな瞳が、じっと俺の目を捉えた。



「それに、シャオロン様は我が国の近接最強なんでしょう?」

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秋人(プロフ) - パスワード掛けても公開して下さってありがとう御座います。本当に好きなお話なのでうれしいです。作者様に無理のないように過ごして下さい。 (2022年3月12日 23時) (レス) id: 3a6567d6ac (このIDを非表示/違反報告)
よにん - 前に見かけてまた見たいと思っていてまた見れて嬉しいです。応援してます! (2020年6月24日 15時) (レス) id: 3491a11aac (このIDを非表示/違反報告)
鬼雷 - 初コメ失礼します!少し前に見つけてひっそりと応援しておりました!ストーリーが凄く好きで先が凄く気になります!作者様のペースで頑張ってください!更新されるのを楽しみにしてます!完結まで追いかけます!頑張ってください! (2020年6月24日 0時) (レス) id: 15f01a3427 (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴(プロフ) - 茄子さん» 教えてくださりありがとうございます!!これからも頑張ってください!!他はもう素敵な話ばかりで読み入ります!もしもあったら聞かせてもらいます…! (2020年6月17日 19時) (レス) id: c59a6d75f0 (このIDを非表示/違反報告)
茄子(プロフ) - りんご飴さん» コメントありがとうございます!ありがとうございます!泣きます(;;) 手首を掴んだのはsypさんです!いえいえ、分かりづらかったかもしれません……。ごめんなさい(;;) 分からないところがあればジャンジャン聞いちゃってください!ありがとうございました(^_^) (2020年6月16日 20時) (レス) id: 8809630e87 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茄子 | 作成日時:2020年4月6日 21時

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