第三十二夜 ページ33
「何者かが外からの『道』を閉じようとしておる......
このままだと、外へ帰れなくなるぞ!」
「「えっっ!!?」」
「今すぐにワシが出口を作れば大丈夫じゃ......」
アモンが素早く指で八芳星を描き、陣が出来上がった。
「どうした!?お主らは帰らんというのか!?」
急いで陣に乗ると、後ろの三人にアモンが呼びかけた。
「早くせい!迷宮は崩壊する...取り残されれば、死ぬるのみだぞ!!」
「おねいさん、早く!!」
しかし、モルジアナは後ろでぐったりとうなだれているジャミルを気にかける。もう立つ気力さえないようだ。
「なんでそんな奴気にかけるんだよ!?
置いてっちまえば自由になれるのに...今までそいつに散々、嫌なことされてきたんだろ!!?」
「おい、Aも何か言えよ」とアリババに小突かれるが、私は充分過ぎるほど彼女に問いかけたはずだ。
あれで何も感じないようなら、認めたくないがそれほど奴の影響力が大きい、ということなのだろう。
少し、厳しく言い過ぎただろうか。
そう考えながら、半分諦めたような目で見ていた。
その時、
ズササッ、とモルジアナとジャミルの間に割って入ったのは、
「ゴルタス......」
満身創痍で立っているのもやっとの、ゴルタスだった。
彼は、面に手を掛け何かを喋り始めたが、喋り慣れていないのか、ただ単に声が小さいのか、結果的に二人の会話は聞こえなかった。
最後に彼は、モルジアナの鎖を断ち切った。
モルジアナを乗せ、グングン上昇する陣の中から見えたのは、ジャミルを担いで奥へと歩いていく、ゴルタスの最期の姿だった。
「(ありがとう......ゴルタス)」
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推しは最強☆! - オモロイ (2020年8月20日 16時) (レス) id: 11099bdacf (このIDを非表示/違反報告)
ガラスペン - おもしろいです! 更新頑張ってください!! (2014年12月9日 1時) (レス) id: 2f7b2271fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:野生ミント x他2人 | 作成日時:2014年6月16日 11時