【マギ】理を越えて (ページ30)

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第二十九夜ページ30

「うわぁあああ！！」

ビビりながらも、戦闘体制に入ろうとするアリババだが、それをアラジンが手で牽制する。

グラリ、とゴルタスの体が揺れドシャリと地面に倒れた。

「ひどい...この人、前が焼けただれちゃってるよ...」

「大丈夫、まだ息はあるし、すぐ手当てすれば......」

「(だけど、この背中の刺し傷は......？)」

疑問が頭をよぎるが、そんなことは後回し。

腰の巾着からゴソゴソと包帯と薬を探す。

「アラジン！！」

不意にアリババの声が聞こえ、何事かと思い顔を上げると、丁度アラジンが何者かに吹っ飛ばされるところだった。

彼の安否を確認しようと、顔を横に向けた瞬間

目のはしに赤がチラリと見えた時には、腹部に衝撃を感じていた。

「はっやー......」

さっきほどの威力はなかったのか、立ったまま後ろへ下がるだけで済んだ。

アリババのほうをふと見ると、なんとそこにはジャミルがいた。

まあ、二人の奴隷がいるんならあたりまえか。

そのジャミルは下を向いて、ブツブツとなにか喋っていてどこか様子がおかしい。

今までのような傲慢な態度が全く見られない。

ぶるぶると震えて、まるで怖いモノを見た子供のよう。情けなっ。

そしてさっきできなかったアラジンの安否を、確認しようと体を動かした。

それに反応したかのように、赤毛の子がこっちに向かってきた！

今度は飛ばされまいと、鉄扇を素早く取り出しガードする体制にはいる。

ガンッ、と脚の衝撃を受け数歩、距離をとる。

腕の包帯からジワリと血が滲み、地面へ紅い花を咲かせた。

「やぁ、また会ったね！......えーと、赤毛ちゃん！」

「........変な名前つけないでください」

「え～、だって名前知らないもん

それに、その赤毛とっても綺麗だからね、赤毛ちゃん！」

にひひっ、と笑うと赤毛ちゃんが顔をしかめた。

「...........ナ...

＿＿＿＿私の名前はモルジアナです！！」