第二十六夜 ページ27
「すごいじゃないか、君ィ!子供が今のをよけるなんて......見直してしまったよ!」
「馬鹿にしてんの?」
ジャミルはハハハ、と笑いながら歩いてくるが、手が剣の柄にかけられているのを私は見逃さなかった。
そしてジャミルは剣を振り上げた
が、
「なにやってるんだい、君?」
「......はッ!領主サマこそ、なにしてるか
わかってますか?」
ゴルタスに向けられた剣が彼に届く前に、反射的に握って止めただけ。それだけ。
血が手のひらからポタポタと流れ落ちる。
「いやいや、働き損ねた奴 隷を罰しようとしただけさ。
.......それにしても、すごいねぇ君たち!よけるばかりか、体を張って止めるだなんて。
そうだ!僕らの罠よけになってくれよ。それだったら連れてってやるよ。
......やるのか、やらないのか?」
どーせ、拒否権なんてないクセに。
○○○
私たちは一応従うフリをしながら、歩いていた。
アラジンが人質に取られている今、隙を見て反撃しようと考えていたワケだが、ジャミルにはお見通しのようで、アラジンの笛が盗られてしまった。
またしばらく歩くと、燭台が現れ、岩肌からレンガがちらつき始めた。
「いやぁ〜!いよいよ迷宮らしくなってきたじゃないか〜!」
ジャミルが叫んだ先にはには、竜を象(かたど)った入口のようなものがあった。
その前には、石碑のようなものがあり、よく見るとトラン語が刻まれている。
いかにも俺は読める、とでも言いたげにブツブツとジャミルが訳し始めるが、
「(全然違ってるし......少し掠ってるけど、これでは落第点)」
全く的外れな解読をしていた。
すると、アリババ
「『竜の牙を越え、真実へ辿り着け。すべては竜の尾にあり』じゃないスかね!?」
ザクッとアリババの二の腕にジャミルの剣が突き刺さる。
「今からそう言おうと思ってたの」
大丈夫かと駆け寄り、先ほどから思っていた疑問をぶつけた。
「ねえ、君がトラン語が理解できたのはすごいけど......訳 全然違ってたよ?」
「いーんだよ、アイツが間違って覚えてくれればな」
そう言って彼はニヤリと笑っていた。
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推しは最強☆! - オモロイ (2020年8月20日 16時) (レス) id: 11099bdacf (このIDを非表示/違反報告)
ガラスペン - おもしろいです! 更新頑張ってください!! (2014年12月9日 1時) (レス) id: 2f7b2271fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:野生ミント x他2人 | 作成日時:2014年6月16日 11時