第二十五夜 ページ26
私がジャミルを睨んでいると
「いや〜助かった〜あ、貴方は領主様ではありませんかっ!?
僕たち町の子供なんですけどっ、迷宮に挑戦して迷ってしまって、弟も熱を出すし......どうしたらいいか......」
アリババ、なにやってんだ?
こんな奴に媚を売るなんて信じられない。
それに、ほら。私たちなんか見えていないふうに素通りしていく。
そして彼は、アラジンに話しかけた。
「お待ちしておりました、マギよ。10年待ったよ。君が僕の前に現れるのをね。ケガなどはしてないかい?......ゴルタス!」
そしてゴルタスと呼ばれた男は、アラジンを片手で掴み上げ肩に乗せた。
「ちょ、ちょっと!その子をどこに連れていくつもりですか!」
そう呼びかけても、彼らはただ笑いながら私の横を通り過ぎていくだけだった。
その行動にイラっ、とした私はこめかみがピクピクするのを感じた。
「ねえ、ちょっと聞こえてるでしょ!!アラジンをどこに連れて行く気!?」
声がグワンと響いて......しーん、と横穴内が静まりかえる。
「.........さっきからうるさいねぇ、君ィ。
僕らは、今から一般市民にはおよびもつかないような大業を果たしに行くんだ。
君たちはもういらないから、帰りなさい」
怒りで我慢できなくなって、コイツの肩を掴もうとしたが
「待てっつってんだよ!!」
今度はアリババの声が反響した。
彼はゆっくり過ぎるくらい、振り返った。
「『待てっつってんだよ』だって!?
ハァ......身分を知らない野人が......まとめて殺れ、ゴルタス」
フシューフシューと仮面の奥から息を吐きながら、歩いてくる彼はいきなり剣を振り上げた。
「あーっ、もうっ!血の気が多いな!」
素早く鉄扇を出す。
攻撃のモーションからして彼はパワーはあるが、ただそれだけのようだ。
だから、
「こんなに簡単に受け流せる。アリババ!」
「......ッ、あぁ!」
アリババはゴルタスの動きを封じ込めた。
再び静まり返ると、今度はパチパチと拍手が聞こえた。
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推しは最強☆! - オモロイ (2020年8月20日 16時) (レス) id: 11099bdacf (このIDを非表示/違反報告)
ガラスペン - おもしろいです! 更新頑張ってください!! (2014年12月9日 1時) (レス) id: 2f7b2271fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:野生ミント x他2人 | 作成日時:2014年6月16日 11時