検索窓
今日:13 hit、昨日:13 hit、合計:9,027 hit

第二十三夜 ページ24




コツコツコツと私の足音が廊下に響く。


真夜中だからか、すれ違う人は締め切り前の書類を慌てて提出する文官か、警備中の兵士ぐらいだった。


自然と足が速くなりつつあるのは、気のせいであることを願った。




◯◯◯




あの後、二人に頼んで私が無事に帰って来たことを宮中に伝えてもらった。


すると、ミルディから


「国王様から伝言です『深夜12時に書斎にくるように』とのことです」


うわあ、と嫌な顔をすると


「自業自得ですよ」


と一喝されてしまった。その通りデス。




◯◯◯




扉の前に立つ。


私の背丈より遥かに大きい扉は父上を表すかのように、威厳があった。


深呼吸。そしてノック。


「父上、失礼します」


前に来たとき、壁際に置かれた本がとても印象に残った。今回もやはり同じように、壁際に鎮座されていた。


毛の長い絨毯を惜しげも無く踏みながら、机の前に跪く。


「父上。御用とは何でしょうか」


知っているのに、本人の口から聞かざる得ない。

シン...と静まりかえったこの空気、雰囲気。

重たすぎて身動きどころか、息さえ満足に吸
えやしない。




「......人を散々心配させて行ったお散歩は楽しかったか?」


「ッ......はい、楽しかったです」



そしてまた、沈黙が続く。



「......私も時々、そんなことをした」

「え?」


驚きのあまり顔を上げると、どこか遠くを見つめながら、父上がポツリとつぶやいた。



「行き詰まりを感じたとき、町へ出てって歩いた。それで人々を見ていると、あぁこの国のためになら、と思える。まあ結局、叱られるがな」

「だから、まあ、外に出て知ることは悪いことではないと思うぞ、私は」


え、え?これは外に行ってもいいってことですよね?


「じゃ、じゃあ、毎日とかは...?」

「一週間」

「二日に一回!」

「四日」

「み、三日!」



じっとお互いを見つめ合う。



フッと、父上の口角が上がる。


「護衛付きで行け。あと、母さんに謝っておきなさい」

「ありがとうございます!では明日から行って参ります!!」



そして、私は身を翻して走りだし、部屋を出ていった。


第二十四夜→←第二十二夜



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
11人がお気に入り
設定タグ:マギ , 原作沿い(漫画) , 野生ミント   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

推しは最強☆! - オモロイ (2020年8月20日 16時) (レス) id: 11099bdacf (このIDを非表示/違反報告)
ガラスペン - おもしろいです! 更新頑張ってください!! (2014年12月9日 1時) (レス) id: 2f7b2271fa (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:野生ミント x他2人 | 作成日時:2014年6月16日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。