第二十三夜 ページ24
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コツコツコツと私の足音が廊下に響く。
真夜中だからか、すれ違う人は締め切り前の書類を慌てて提出する文官か、警備中の兵士ぐらいだった。
自然と足が速くなりつつあるのは、気のせいであることを願った。
◯◯◯
あの後、二人に頼んで私が無事に帰って来たことを宮中に伝えてもらった。
すると、ミルディから
「国王様から伝言です『深夜12時に書斎にくるように』とのことです」
うわあ、と嫌な顔をすると
「自業自得ですよ」
と一喝されてしまった。その通りデス。
◯◯◯
扉の前に立つ。
私の背丈より遥かに大きい扉は父上を表すかのように、威厳があった。
深呼吸。そしてノック。
「父上、失礼します」
前に来たとき、壁際に置かれた本がとても印象に残った。今回もやはり同じように、壁際に鎮座されていた。
毛の長い絨毯を惜しげも無く踏みながら、机の前に跪く。
「父上。御用とは何でしょうか」
知っているのに、本人の口から聞かざる得ない。
シン...と静まりかえったこの空気、雰囲気。
重たすぎて身動きどころか、息さえ満足に吸
えやしない。
「......人を散々心配させて行ったお散歩は楽しかったか?」
「ッ......はい、楽しかったです」
そしてまた、沈黙が続く。
「......私も時々、そんなことをした」
「え?」
驚きのあまり顔を上げると、どこか遠くを見つめながら、父上がポツリとつぶやいた。
「行き詰まりを感じたとき、町へ出てって歩いた。それで人々を見ていると、あぁこの国のためになら、と思える。まあ結局、叱られるがな」
「だから、まあ、外に出て知ることは悪いことではないと思うぞ、私は」
え、え?これは外に行ってもいいってことですよね?
「じゃ、じゃあ、毎日とかは...?」
「一週間」
「二日に一回!」
「四日」
「み、三日!」
じっとお互いを見つめ合う。
フッと、父上の口角が上がる。
「護衛付きで行け。あと、母さんに謝っておきなさい」
「ありがとうございます!では明日から行って参ります!!」
そして、私は身を翻して走りだし、部屋を出ていった。
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推しは最強☆! - オモロイ (2020年8月20日 16時) (レス) id: 11099bdacf (このIDを非表示/違反報告)
ガラスペン - おもしろいです! 更新頑張ってください!! (2014年12月9日 1時) (レス) id: 2f7b2271fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:野生ミント x他2人 | 作成日時:2014年6月16日 11時