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第十八夜 ページ20

10歳の頃、前々から疑問に思ってたことがある。


「......ねえ、メルディ。城の外の様子ってどういうふうになってる?」


双子の侍女の一人、メルディに訊いた。


「そうですねぇ、一言で言うならば賑やか。他になにかありますか、ミルディ?」


自分の姉妹にそう問いかける。


「そうですねぇ、人々がとても毎日を幸せに暮らしています」


ふーん、と窓の外を隅々まで見てみたが高い城の上からは人々の様子など、分かるはずもなかった。


「(自分が住んでいる国の様子を知らないなんて......王族としてこれでいいのだろうか)」


悶々と考え抜いた末、ポツリと一つの名案を思いついた。




「......よし、城の外に行こう」


簡単なことだった。城の外を知らないのなら、城の外に行けばいい。


私の行動は早かった。何も持たず、身一つで城を飛び出した。

警備の目をかいくぐり、こっそり抜けだすのはハラハラドキドキしてスリル満点だった。

これから、城下街を見てまわると思うと自然と足が速くなった。

この時の私の目は何よりも輝いていたと思う。





が、





「ぎゃぅっ!?」


いきなり襟首を掴まれ、おかしな声が出てしまった。恥ずかしー。

ぐらりと視界がゆれ体が宙に浮かぶ感覚。


だがそんなことはどうでもいい、それよりも...


「息がッ...できな、いッ!放してッ、くださッ!」


思考と意識が曖昧になってきたころ

フワッと首を締め付ける圧迫が消え、私の体は重力に忠実に従い地面に落ちる。

顔面から地面に激突し鼻をしたたか打ちつけた。


涙目になりながら鼻を抑えていると、頭上から声が聞こえてきた。



「王族の方がここで何をしている」



威圧感のある声に私はビクンッ、と体を震わせた。声からして男の人だろうか。


「え、えっと......。城下町を見にきました......」

「なぜ?」


また問いかけられる。もう怖くて涙目になりながらも私は答える。


「私、城の外のこと知らなくてっ......それでどんな、風なのかと......」


そうか、とその人は一人でに呟き、自分についてくるように言った。


「その格好では少し目立つな......」


ふわりと薄汚れたマントを被せられた。
ブカブカなマントは私の顔をすっぽりと隠してしまった。


......まだ顔は見てないけど、意外と優しい人なのかも......。


長いマントに足を取られつつも、その人の足を追いかけた。

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設定タグ:マギ , 原作沿い(漫画) , 野生ミント   
作品ジャンル:アニメ
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推しは最強☆! - オモロイ (2020年8月20日 16時) (レス) id: 11099bdacf (このIDを非表示/違反報告)
ガラスペン - おもしろいです! 更新頑張ってください!! (2014年12月9日 1時) (レス) id: 2f7b2271fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:野生ミント x他2人 | 作成日時:2014年6月16日 11時

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