第九夜 ページ11
結果、なにもしないことに決まった。
なんかしたってこの少女が解放されて報われる訳でもない。
ブーデルは口をパクパクさせるだけで一言も喋らなかった。
いや、ただ単に彼女の威圧に硬直しただけかもしれない
「......いいかげんその手離したら?」
Aは手を下ろすことなく、呆れたように一言言った。
しかし、手を離す気配のないブーデル。
彼女はまた、ため息をつき扇子を下げたかと思いきや、ドスッとブーデルのみぞおちに膝を綺麗にあてた。多少手加減してある。
「もう私の目の前に姿を見せないで」
嫌悪と軽蔑を込めて思いっきり睨んだ。
「A......いきなりどうしたんだよ?」
「ただちょっとムカついただけだから......なんかごめんね」
気を取り直して『さあ、迷宮でも行きますか!!』と言おうとした時、
「おい!!こっちだ!!」
「旦那様の物に手を出すか!!」
警備の方々が向こうから走ってくる。横でブーデルは『ざまあみろ』と嘲笑っていた。
コイツ......もう一回蹴るぞ、本気で。
「おい、A!!早くしろ、逃げるぞ!!」
しぶしぶ私はアリババ、アラジンと一緒に反対方向に逃げる。
「逃げきれアラジン、A!!捕まったら俺たちの人生ここでゲームオーバーだ!!」
「喋る暇あったらっ、走れよ!!」
細い路地駆け抜けるが、向こうから追っ手がでてきた!そのままこっちへ走ってくる!
四方から手が延びてきて......
「つっ、捕まった〜〜!!」
「だから、走れっていったでしょ!!」
延びてきた手と格闘していると、視界が青く染まった。それが何かを確認する前に、体が宙に浮かんでいた。どうやら、アラジンが笛を吹いたみたいだ。
「終わらないよ!これから僕たちは
......迷宮へ、冒険に行くんだもんねっ!!」
アリババは力強く頷き、
私は「そうだね」と微笑んだ。
下ではブーデルが醜く叫んでいるが、どうでもいいので聞き流す。
「行こうっアラジン、A!迷宮へ!!」
「「おぉーーー!!」」
私たちと青い巨人はこれから苦難が待ち受けているであろう、迷宮へ駆けていった......
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推しは最強☆! - オモロイ (2020年8月20日 16時) (レス) id: 11099bdacf (このIDを非表示/違反報告)
ガラスペン - おもしろいです! 更新頑張ってください!! (2014年12月9日 1時) (レス) id: 2f7b2271fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:野生ミント x他2人 | 作成日時:2014年6月16日 11時