55.迷い ページ8
『…ま、ひる/////急にどうして』
急に後ろから抱きしめられて、真昼の吐息が耳にかかる。
｢…ごめん
もうちょっと、このまま｣
ぎゅ、と込められた力にびくっと肩が跳ねる。
真昼は首筋に顔を埋め、離そうとはしてくれない。
そんな幼なじみの姿に何かを感じた私は、空いている手で真昼の頭を優しく撫でた。
『大丈夫、だよ』
｢っ…｣
さらに深く顔を埋める真昼。
────離されたのは、それから少しした後だった。
｢…ごめんA、驚いたよな｣
『う、ううん！大丈夫だよ…っい』
｢A…‼｣
今まで気をつけてゆっくり動いてきたのに、ここに来て傷を忘れていた。
急に動いたことでそれがズキズキと痛み、座り込む。
崩れそうになる私の体を支えた真昼は、焦った顔で私を覗き込んだ。
｢っ大丈夫か？まだ治ってないんだから安静にしてないと…｣
涙でうっすらとぼやける視界に顔をしかめると、それに気づいたようで真昼は私を抱えあげる。
『っ、ごめ』
｢いーから、大人しく、な？｣
こくりと頷くと、家事は俺がやるから、と言って私ではなく真昼の部屋に入った。
｢俺の部屋の方がリビングに近いから、しばらくここで寝てられるか？｣
そう言ってゆっくりと私をベッドに降ろすと、微笑んで頭を撫でる真昼。
『…ご、めんなさい』
｢ごめんはっ…！｣
ごめんは、
そう言いかけた真昼はそこで言葉に詰まる。
不安げに揺れる私の目を見て、口を噤む。
｢…何でもない、ゆっくり寝てるんだぞ？｣
『…う、ん』
────もう聞きたくない。
その言葉を飲み込んで、真昼は立ち上がった。
｢…A、ちょっと寝て落ち着いたら、今日は街まで出かけないか？｣
『…え、学校は』
｢いーから！今日はサボり！
…桜哉のこと、考えたくてさ｣
『っ…‼』
その単語に、思わず体に恐怖が駆けずり回る。
真昼は迷いが滲む表情で言うと、ハッとして私に苦笑いを浮かべた。
｢…怖いか？桜哉のこと｣
私は少し視線を左右させながら答える。
『…怖くないって言ったら、嘘になる…かな』
｢そっか。そうだよな
…辛かったもんな｣
怖くなるのは当たり前、桜哉が口にしたその言葉を、真昼も口にする。
『…でも』
｢ん？｣
もう何も。
『知りたくないっ…』
…全てを拒むように目をきつく瞑る。
真昼はそれに酷く驚いたようで、座ると私の頭をそっと引き寄せた。
｢…そっか｣
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重岡ゆう毅(プロフ) - 続きが気になります、！！大変だとは思いますが、更新待ってます！！ (2018年11月19日 2時) (
レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
ふうか(プロフ) - すごく内容に引き込まれます…！これからも応援しています！頑張ってください！ (2018年6月5日 2時) (レス) id: 8efdf1c9c8 (このIDを非表示/違反報告)
小雪 - 夢主ちゃんの過去…もう予想がついてきました！更新頑張ってください！応援しています！夢主ちゃん羨ましい！ (2018年4月4日 21時) (レス) id: 3b39f94354 (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - 博多の塩さん» コメント並びにお気遣いありがとうございます…夢主ちゃんの過去にもこれからどんどん触れていくので、読んでいただけたら嬉しいです！よろしくお願いします！ (2018年4月4日 20時) (レス) id: be0310918f (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - 小雪さん» コメントありがとうございます！ご感想嬉しいです…更新頑張りますので、お待ちいただけたら幸いです！これからも読んでいただけたら嬉しいです、よろしくお願いします！ (2018年4月4日 20時) (レス) id: be0310918f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いおり | 作成日時：2018年4月3日 21時
