赤い糸14 ページ14
お昼休みに霊幻さんから風邪が治ったとお礼連絡が来た。
緊急とはいえ昨日は勝手に家に上がりこんでしまって、無礼だったかもしれないと悶々と考え込んでいたけれど電話の声色を聞いて少し安心した。
「A〜?」
「ん?」
「今日、合コン行くんだけど数合わせで来てくれない?」
「えー……嫌だよ。合コンとか行ったことないしそういう場で知り合う人ってあんまり好きじゃない」
そこを何とか!、と土下座の勢いで頼んでくる。そんなに頭を下げられたらさすがに断りにくい。
でも、いかにもナンパとかしてそうなチャラい人達が集まってそうな所には行きたくないんだよなぁ。行ったことないから完全に偏見だけど。
「霊幻さん?」
携帯の画面を覗き込みながら、そう聞いてくる。あと勝手に人の液晶画面見るのやめなさい。
「んー」
「霊幻さんを追っかけるのも良いけど、年上すぎるんじゃない?Aには同級生とかが合ってる気がするんだけどなぁ」
「合コンに来るの先輩なんでしょ?センパイ!」
別に年上が好きってわけじゃない。霊幻さんと出会うまでは年下のほうが無邪気だ可愛いと思っていたくらいだ。
ずるくて、小賢しくて、口が達者で詐欺師。そんな人をどうして好きになったのかなんて、その人の魅力に決まっている。
そんな世間体の表面なんて全て崩してしまうくらいの、人間味。本気で向き合ってくれる大人。
年上だからなんじゃない。霊幻さんだからなんだ。
なんて……少女漫画みたいな考え。これは私が子供だからかな。
いつだって、あの人との差が私を威圧する。私を否定する。悲しくて苦しくて……それでも好きで。
迷ってばかりで嫌になる。
「Aは、霊幻さんの何になりたいの?」
「私は……」
私は、霊幻さんの恋人になりたい?
心に浮かんだ思いに疑問を抱く。恋人……じゃ、ないような気がする。
でも保護者みたいな関係では満足はできない。
じゃあ、何だろう。私は何を求めているんだろう。
「あれ……何だろう」
「……とりあえず、今日は考えるのやめて合コン参加しなよ。何事も経験!!ね?」
片付かない気持ちに蓋をするようにうん、と小さく頷いた。
80人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さくら餅(プロフ) - 抹茶さん» ありがたいお言葉頂けて光栄です!!もどかしい時間が長かった分、きっと未来では二人で幸せに暮らしてます! (2019年9月2日 19時) (レス) id: d6eb335a4b (このIDを非表示/違反報告)
抹茶(プロフ) - とっっっっても面白かったです!!未来の2人が幸せに暮らしているところが自然と思い浮かびます! (2019年9月2日 19時) (レス) id: b5b208b71b (このIDを非表示/違反報告)
さくら餅(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» コメントありがとうございます。嬉しいです!応援は執筆の力になりますので頑張ります( ´∀`) (2019年5月2日 15時) (レス) id: d6eb335a4b (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - この作品もお話とっても素敵です!作者様の事陰ながら応援しています!体調に気をつけて無理をなさらずに更新頑張ってください! (2019年5月2日 15時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さくら餅 | 作成日時:2019年5月2日 12時