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「ところでさ、せんせーって大阪に住んでたりした?」
真剣な表情で突然何を言い出すかと思えばこれだ。しかもそれは当たっている。
「えっ、何で分かったの?」
「さっき俺が保健室来た時、『なんで来たん!?』ってなんか訛ってたからさ」
どうやら驚きのあまり無意識に方言が出てしまったみたいだ。
「何で普段は標準語で話してんの?」
そう尋ねてくる彼に
「んー、東京で1人関西弁だと浮くからかなぁ」
なんて返事をしたけど、この理由は建前だ。
本当の理由は大学生の時に付き合っていた彼から「怖い」と言われて振られたからだったりする。
確かに聞き慣れていないと関西弁は勢いがあってきつい方言に聞こえてしまうのかもしれない。
そして実は大阪弁は住んでいる地域によっても種類があるのだが、私の住んでいた地域は特に怖い部類の方言だったのもきっと原因の1つだったと思う。
人を無駄に怖がらせてしまうくらいなら、そんな方言は捨ててしまおう。私は生徒から親しまれる優しい先生になりたい。
なんて思って標準語を意識するようになったんだっけ。
当時の心境を思い出していると
「俺はせんせーの関西弁好きだけどなぁ」
彼は笑ってそう褒めてくれた。ただ、褒められ慣れていないので何だかむず痒いような気持ちになる。
「え、ありがとう。方言を褒められるなんて初めてだな...ちょっと嬉しいかも」
感謝を伝えると今度は何かを思い出そうと手を頭に置いて考え事をし始めた。
「んーでもなんか懐かしいような気もすんだよなぁ」
あのたったワンフレーズで懐かしさを感じるなんて、もしかしたら彼には関西弁を話す友達がいるのかもしれない。
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作者名:なる | 作成日時:2022年8月9日 15時