【おそ松さん】恋愛経験値。【チョロ松】 (ページ12)

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そう言えば、あの時から変な気持ちだった。

ちょっとまって、私はあの人のことのどうも思っていない。ただのお客様。それでいいのよ、今すぐ忘れるの、A

……だめ、全然忘れられない。お客様の顔なんて、いつもならすぐ忘れるのに。

…あの人がいけないんだ。変な名前だから！
お母さんの顔を見てみたい。

遊歩道を早足で歩く。ぐるぐる同じ事を考えながら。

きっと顔は真っ赤だろう。思い出しただけで恥ずかしさが波のように押し寄せる。

気がつけばお昼行きつけのお店も通り過ぎていた。

そう、あの時ニュースの変な企画を見たからこんなことになっている。

でもやっぱりおかしい。変なパン食べたり、遅刻寸前だったり、受付になったり、

……人に出会ったり。

こんな事、生まれて初めて。人には絶望した筈なのに。

『何の、面白味もないのね。×ねば良いのに。』

横断歩道に差し掛かった時。ベビーカーに乗っている小さい子供が、じゃれているボールを落とした。

コロコロと私の足元で止まる。母親はまだ気づいていない。

拾い上げてなんとなく見詰めた。激しく唸るエンジン音とは裏腹に、私の心は酷く落ち着いている。

横断歩道の向こう側の信号機は妖しく、赤く煌めいている。

轟音と共にトラックが私の瞳に映った。

＿＿＿＿神様、不運とはこんなもんなんですかね。