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『そうだよ。一也としてきたよ』
「なっ……お前、もっと自分を大事にしろよ!」
『してるよ!!』
少しムキになってしまい、つい声を上げてしまった。
自分のことは大事にしてはいるつもりだ。
一也以外の男には触らせたことないし、触らせるつもりもない。
そんなの想像しただけでも反吐が出そうだ。
一也以外の男なんてありえない。
『私には……一也だけだから。』
かすれた声で自分の想いを言うと、倉持はそっと口を開き、いつもより優しい声色で聞いてきた。
「……御幸のこと本気で好きなのか?」
ドキリ。心臓が鳴る。
だが、私は迷うことなくはっきりと答えた。
『そうだよ。一也が好きだよ。』
こうして言葉にするのも、人に教えるのも、これが初めてだな。
口に出してから、そのことに気付いた。
「それなら__」
『私は一也の側に居られればそれでいいの。』
倉持の言葉を遮って言った。
倉持の言いたいことは嫌でも分かってしまう。
だけど、その言葉を聞きたくなかった。
「……本当にそれでいいのか?」
『うん。』
「はあ……。そーかよ。」
瞬間、頭の上にポンッと暖かい感触が。
それが倉持の手だと気づいた時には、髪の毛をくしゃっとされ、髪が乱れてしまっていた。
「無理はすんなよ。」
『わかってる。』
倉持の言葉が、行動が、嬉しくて胸がじわりと暖かくなり、一也のことで無理して苦しかった胸が少し軽くなった気がした。
こんな事されるなんて、久々だからさ。
「じゃ、俺は部活に行くわ。」
『……そう。』
「池野、気をつけて帰れよ。」
私の素っ気ない返事に対して倉持はニカッと笑顔をこちらに向け、教室から出て行った。
倉持って見かけによらず、いい人だな。
『…………ありがとう。』
誰もいない教室で、そう呟いてみた。
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るな - 何度も見ちゃいました。凄く泣けるし、面白いし、この作品凄く大好きです! (2015年3月4日 15時) (レス) id: 89438c4b0f (このIDを非表示/違反報告)
紅覇 - 何度も見ちゃう!そして感動! (2015年2月10日 18時) (レス) id: 8d66b50b66 (このIDを非表示/違反報告)
栗原(プロフ) - ★アリス☆┗┃∵┃┓さん» コメントありがとうございます!!感動してもらえるなんて嬉しいです(o゚▽゚)書いたかいがあります笑!わ (2015年2月7日 19時) (レス) id: de61b7daa1 (このIDを非表示/違反報告)
栗原(プロフ) - しゅな(?´ ? ` )ノさん» 嬉しいお言葉ですー!こちらこそ、ありがとうございますです(*T▽T*)コメント、あざっした!! (2015年2月7日 19時) (レス) id: de61b7daa1 (このIDを非表示/違反報告)
栗原(プロフ) - soraさん» そう言ってもらえる小説を書けて、嬉しいです(*T▽T*)私なりに頑張ります!コメント、ありがとうございましたッ!! (2015年2月7日 19時) (レス) id: de61b7daa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:○ | 作成日時:2014年10月11日 21時