悪役なりの精一杯の恋だから【ダイヤのＡ】

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◇倉持side◇






今日はデートという名の、



カラオケやゲーセンという…ただの遊びだ。



池野がデートって言うから驚いたけど案の定、そんなことはなかった。



だけど、俺と池野はすごい楽しんで遊んだ。





＊






貴「んー！たくさん遊んだー！！」






帰り道、笑いながら池野は背筋を伸ばした。





今日の１日で池野のことを沢山知れたと思う。



無邪気に笑う顔や苦戦してる時の顔。



意外と強情で負けず嫌い。



可愛い物や甘いものが好きなところ。



そして、俺のことを信用してくれたのか



御幸のことや松下のことを話してくれた。



悪役って聞いたときは「は？」って思った。



池野みたいな優しい奴が悪役な訳ねぇーだろ！って。



でも池野は頑張ってるようだから



俺は見守ることにした。



池野は強い奴だから大丈夫だ。



こんなに辛い思いしてるのに一度も泣いた姿を見せてない。



他の女子ならウザいくらい泣くだろ、普通は。





池野のことを見ていると、パチッと目があった。






貴「倉持、今日はありがとね！本当に楽しかった！

あとね…、倉持に私のことを知りたいって言われた時すごく嬉しかったんだ。

今まで、見た目で私に近づく人は多かったけど、私の中身は全然見てくれなかったんだ。

一也も長い付き合いなのに私のこと全然知らないしねw

だから、ありがとう。

倉持のおかげで今日は久々に一也のこと忘れて笑えたよ」






そんな可愛い笑顔で笑うなよ。



なんで俺にはそんなに素直なんだよ。







倉「池野、俺じゃダメか？」


貴「え…？」


倉「俺、池野のことが好きだ」






池野は驚いた顔をして、戸惑いを見せた。



…ちっ。何困らせてんだよ。







倉「返事はまだいらねー。

けど、これから少しでも俺のことを見てくれ」


貴「…うん」






その後は特に会話もすることなく、俺達は歩いて帰った。

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